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PN悠祐希
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魔法少女おりこ★マギカR

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■ 第4話 織莉子、回想2 ■



「ちなみに、その女の子の双子の妹さんが変貌してしまった魔女を倒したのは…あなた達の中の誰かよ」
 織莉子は、そう告げたところで、一度、話しを止めた。おそらく知っているのだろうが、あえて、それが誰だったのかは言わない。
「…そんな事は、今となっては、私達には、本当に関係ないことだわ。それよりも…ということは、あのキリカって子が、あなたの指示で?」
 そこまでの織莉子の告白を聞き、ほむらが、そう問いかけてきた。
「そのとおりよ。あの子の能力は、『自分以外の、全てのモノの動きや、事象の進みを、遅くすること』…つまり、《速度低下》…それは、特に、魔女に殺されそうな魔法少女を助けるのに、この上なく適していたわ」
 織莉子が、そう答えた。
…なるほど…さっきの、目にもとまらぬ動き…
…あれは、あいつが速かったのではなく、私が遅くなっていたということか…
 ほむらは、そう理解した。

 また、織莉子とキリカが初めて出逢った時、結界の崩壊が遅かったのも、その能力の影響によるものだった。

「けど、いいの、味方の手の内を晒してしまって?」
「別に…この先、あなた達と事をかまえるつもりはないし、理由もないわ。だから、問題ないでしょ?」
 ほむらの質問に、織莉子は、そう返した。
「まあ、いいわ。で、その速度低下の能力を使って、巴・マミと佐倉・杏子のソウルジェムを、破壊されてしまう前に回収していた…ということかしら?」
「ほんと…察しが良くて、助かるわ…ほむらさんは…」

 そう、巴・マミは、お菓子の魔女《シャルロッテ》に、頭を噛み砕かれた上に、全身を貪られ、殺された。だが、キリカが、《速度低下》の能力を使って、その場に飛び込み、結果、誰にも見つからないままに、まさに、頭を砕かれる直前に、マミのソウルジェムを回収してきた。残念ながら、その場に飛び込んだ時、すでにギリギリのタイミングだった為、突き飛ばしたりして体ごと攻撃を避けさせるだけの余裕はなく、すれ違いざまにソウルジェムだけを、もぎ取ってくるのがやっとだった。
場合によっては、まどかと美樹・さやかを死なせない為に、姿を見られてでも、そのまま魔女と戦闘を行うつもりでいたようだが…
ほむらが間に合った為、ソウルジェムの無事回収を優先し、後は彼女に任せ、退くことにしたらしい。

 佐倉・杏子の場合も、ほぼ同様…
美樹・さやかが魔女化した…人魚の魔女《オクタヴィア・フォン・ゼッケンドルフ》との戦いで、相討ち覚悟の攻撃を繰り出し、それが当たった直後のタイミングに、キリカが飛び込み、ソウルジェムを回収した。
 実際は、キリカが現場に辿り着いた時には、すでに必殺の攻撃が、互いに当たってしまっていた後であり、完全に手遅れだった。ところが、杏子は、最後の技を繰り出す直前、自分のソウルジェムを、髪の毛の結い目に仕込んでいた十字架のアクセサリーと一体化させて、手放していた為、かろうじて回収に成功した。運が良かったとしか言いようがない。
 ちなみに、アニメでは、杏子のソウルジェムが砕け散るシーンがある。だが、アレは、杏子が散ってしまったと視聴者に思わせる為の、いわばイメージ映像であり、本当に砕けていたわけではなかった。(という俺様設定)

「もっとも…本当は、あの、さやかって子が、魔女化することも予知できていたから、そうなる前に、ソウルジェムを回収する予定だったんだけど…予定外のお客様が訪れて…」

 それは、西洋の甲冑のような姿の魔女…鎧の魔女《バージニア》…
それが、さやかを襲いに行こうと決めた日の昼すぎ、とりあえず昂った気分を落ち着かせる為に、裏庭のテーブルでティーブレイクしようとしていた織莉子とキリカの前に、唐突に現れた。
 キリカは、織莉子の家には、こんな鎧が欲しかったと、嬉々として戦い、バージニアを討った。
もちろん、魔女を目の前にして、放っておくことなどできない。しかも、どこかに巣くうタイプならまだしも、ここまでアクティブに攻撃的なモノは、特にだ。
しかし、バージニアと戦ったせいで、さやかに関しては手遅れになってしまった。

「美樹・さやかは、魔法少女としては致命的だった…他人の為に願いを叶え、他人の為だけに戦うだなんて強がって、結果、自分を追い詰めていった…希望と理想に、精神と実力が伴っていなかった…例え、この世界で生きられたとしても、早々に、円環の理に導かれていたでしょうね…あなたが、悔む必要はないわ」
 ほむらが、いたって冷静に、そう応えた。
「確かに、そうかもしれないわね。でも、人は、誰でも、本当に大切に想っている人の為なら、己の全てをかけてでも…って考えてしまうこと、多かれ少なかれ、あるんじゃないかしら?…自分を犠牲にしてでも、誰かの幸せを願うことが…まどかさんだって、そうだったのでは?」
 織莉子は、そう言葉を返した。
「…っ!」
 ほむらは、露骨に、悔しそうな表情になった。
 まどかに、そうさせてしまったのは、自分…そういう想いが、いまだもってあるのだ。
 それゆえに…
「…なら、そろそろ、教えてもらえないかしら?…あなたが、まどかに為に、何をしようとしたのか…そして、あの、まどかに似た子は、いったい、誰なのかを」
 その、ここに来た、もっとも大きな理由を…大きな疑問を、解決したいと思った。
「そうね…あまり、もったいぶっても良くないわね…」
 織莉子も、そう応えつつ、再び、再編前の世界の記憶を、辿り始めた…