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PN悠祐希
PN悠祐希
novelistID. 37045
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魔法少女おりこ★マギカR

INDEX|20ページ/27ページ|

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 魔女狩り、魔法少女狩り、隠密での魔法少女助け…
 私が、場所と時間を特定し、キリカが動いて、それらを実行してくれた。
 キリカの能力と戦闘力のおかげで、かなりの数の魔女を倒すことができたし、ソウルジェムも随分と数が増えていた。綺麗な言い方をすれば、それだけの魔法少女を、魔女化や死から、救ったということだ。

 そして、いよいよ、ワルプルギスの夜を迎えた。

「全ての魔女を、生まれる前に消し去りたい…
 全ての宇宙…過去と未来の全ての魔女を、この手で…」

 まどかが、キュゥべぇに願いを告げる…

「神様でもなんでもいい…これまで希望を信じてきたみんなを泣かせたくない…最後まで笑顔でいて欲しい…だから…それを邪魔するルールなんて…壊してやる! 変えてやる! それが、私の願い…」
「さあ…叶えてよ!…インキュベーター!!!」

 そして、魔法少女スタイルに変身した まどかが、手に持った弓を掲げ、空に向かって光の矢を放った。
 光の矢は、はるか上空で数多の細かい光に分散し、飛んで行った。
 その光の一つ一つが、まどかの想い…
 これまでに力尽き、絶望に打ちひしがれながら魔女と化してしまっていた、全ての魔法少女の心に、安らぎ与える為に放たれた、希望の光…
 
 私達は、その様子が見える場所にきていた。

 この場面に至るまで…私達は、密かに、街中に散ったワルプルギスの夜の使い魔達と交戦していた。
 理由は二つ…
 一つは、見滝原の人達が襲われるのを未然に防ぐ為。
 もう一つは…たった一人で戦いを挑むことになってしまった ほむらに、できるだけワルプルギスの夜への攻撃に専念させてあげたかったからだ。
 それでも、何体かの使い魔が、ほむらに襲いかかってしまったが…絶対数は、かなり減らせたはずだ。
 そして、まどかの到着に合わせるように、私達も、ここにやってきた。

 光が、再び、まどかに集中し始める…
 全宇宙…過去も未来も、全ての時間軸のソウルジェムが、グリーフシードに変わる前に、まどかによって浄化かれていた。

『そんな姿になる前に…私が受け止めてあげるから』
『あなたはもう、誰も呪わなくていいんだよ』

 まどかのソウルジェムが、いっそうの輝き…魔力を放った。まるで、この世界…宇宙を、完全に覆い尽くすかのように…
 そう、いよいよ、世界が変わる…
「キリカ、今のうちに、まどかの身体とソウルジェムを保護して!」
 私は、キリカに、そう指示を出した。

 これ程の祈りを叶えてしまったら、おそらく、まどかという個体を保てなくなる…
 その人生も、再編前の世界と共に消え、新たな世界では、始まりも終わりもなくなる…
 そう、再編後の世界では、生きた証は、もう何処にも、誰に記憶にも、残されない…
 彼女の存在は、一つ上の領域にシフトし、ただ一つの概念となる…
 もう、誰も彼女を認識できない…彼女もまた、誰にも干渉できない…彼女は、この宇宙の一員ではなくなってしまう…

 だが、それは、誰も、何もしなかった場合の話し…
 確かに、彼女の《願い》と《想い》は、膨大な魔力と共に、宇宙再編の為に放たれた。今、そちらに、ほむらが干渉している。
 なら、その間に、私達は、このまま消えてしまうことになる身体とソウルジェムに干渉し、新たな世界に残そうと考えた。
 確かに、例え、身体とソウルジェムを残すことに成功したとしても、新たな世界で、彼女という存在が、なかったことになってしまうことまでは、変えることはできないだろう。
 それでも、彼女には、彼女自身が作り出す新しい世界で、生きて欲しかった。
 生きてさえいれば、例え、全てが失われてしまっても、やりなおすことができるのだから…

 キリカの速度低下の能力のおかげで、まどかの身体とソウルジェムは、世界の再編の渦にのまれることなく、保護することができた。

 その時…世界が、暗闇に包まれた…
 そして、私達は見た…
 まるで彗星のような…地球すらも覆い尽くしてしまう程に巨大な、黒い塊が出現した。

『あれがなんだか解るかい?…彼女の祈りがもたらした、ソウルジェムさ…
 一つの宇宙を創りだすに等しい希望が遂げられた…
 それは、即ち、一つの宇宙を終わらせるほどの絶望をもたらすことを意味する。当然の結果さ』

 キュゥべぇが、誰かに、そんなことを語っているのが、聞こえてきた。

 その暗黒の塊…最悪の魔女が、再編された世界を、包み込もうとしている…
…そんな…そんなことって…
 私達六人は、『それでも駄目だったのか』と、諦めかけた。もしも、キュゥべぇの言うことが正しければ…世界は、再編されるどころか、このまま滅びてしまう。

『大丈夫だよ…』
『私の願いは、全ての魔女を消し去ること…本当に、その願いが叶ったんだとしたら…』
 突然、闇の世界に、まどかが現れた。白い衣を纏い、髪の毛も伸びた、神々しい姿…
 まどかは、弓を、黒い塊に向けてかまえ…
『私だって…絶望する必要なんて…ない!』
 光の矢を放った。
 まどかの願いが生み出そうとしていた魔女は打ち砕かれた。いや、そうじゃない。他の魔法少女と同じように、魔女化する前に、ソウルジェムが浄化されたのだろう。

 再び、意識が、まどかの身体をキリカが保護した直後に戻ってきた。
 どういうわけか、髪を結ってい赤いリボンだけは、失われていたが…まどかの身体とソウルジェムは、私達の前に、存在していた。成功だった。
 さらに、私達の集めたソウルジェム達も、再編されつつある世界の中に放たれていった。きっと、新しい世界の再編と共に、彼女達の身体も再構築されるはずだ

 そして…宇宙は、まどかの大いなる意思を宿した魔力により、再編された。

 その中で、私は、ある魔法少女の想いを、感じ取っていた…
 青いショートカットの少女…美樹・さやか…
 コンサート・ホールの座席で、一人の少年のバイオリンの演奏を聴いている。
 そこから、舞台の袖で、緑色の長いウェーブがかった髪の少女が、心配そうに見守っている姿も見えた。
 すると、女神が、人間だった頃の姿で現れ、美樹・さやかの隣に座った。
「こんな結果しか残せなくて、ごめんね。さやかちゃんを救うには、何もかもなかったことにするしかなくて…」
 それは、おそらく、魔女のみならず、魔法少女という存在すらも…ということだろう。
「でもそれは、きっと望む形じゃないんだろうなって…さやかちゃんの祈りも、その為に戦ったことも、絶対に無駄じゃない、大切なことだったって思ったから…」
 確かに、全てをなかったことにすれば、魔法少女となったことが原因で命を散らせた者も、生き返ることができたかもしれない。
 しかし、魔法少女になった者達には、皆それぞれに、譲れない願いがあった。それを叶える為に、命をかけることを選んだ。その想いを、なかったことにされてまで助かりたい命ならば、はじめから魔法少女になどなっていない。それだけの想いを持てたことが、誇りなのだ。
 それは、美樹・さやかも、同じだったようだ…