魔法少女おりこ★マギカR
「うん…充分だよ…あたしは、ただ、あいつの演奏を、もう一度、聴きたかっただけなんだ…あのバイオリンを、もっともっと、大勢の人に、聴いて欲しかった…
確かにさ、ちょっと悔しいけど…仁美じゃ仕方ないや。恭介には、勿体ないくらいの良い子だし…きっと、幸せになってくれるよね…」
そして、少年の演奏が終わる頃には、美樹・さやかは、女神に手をひかれて、消えていった。
少年は、演奏を終えると…
「…さやか?」
少し前から、行方がわからなくなってしまっている幼馴染の名を口にし、天を仰いだ。
助けるつもりで、助けられなかった子…
再編前の世界での、私の心残り…
だけど、これで少しは…私も…
気がつくと、私は、再編前の世界で、最後に魔女を倒した直後の場面にいた。
ただし、戦っていた相手は、《魔獣》という存在に変わっていたが…
キリカも、その場にいる。
「キリカ…あなた、再編前の世界のこと、憶えてる?」
私は、何よりも、まず、それを確認したかった。
「え?…ああ、憶えてるよ」
キリカが、ハッキリとそう答えた。
どうやら、世界の再編の特異点に介入していた為、新しい世界の概念にとらわれず、再編される前の世界の記憶が残ったようだ。
「それで…まどかは?」
私は、慌てて、辺りを見回した。すると、私とキリカのすぐ傍に、彼女は横たわっていた。意識を失ってはいたが、ちゃんと生きている。
「良かった…」
キリカも、ホッとしたように、そう応えた。
とはいえ、おそらく、この再編された世界では、まどかの存在は、なかったことになってしまっているはずだ。
だけど、少なくとも、私とキリカは、憶えている。だから、どんなに大変でも、この新しい世界で、彼女がシッカリと生きていかれるように、支えになろう…
私は、あらためて、そう心に決めていた。
ちなみに、再編前の世界で回収したソウルジェムの子達が、再編後の世界で、どうなったかを、キリカと二人で確認して回ってみたが…
皆、元気な姿で、魔獣を狩っていた。とりあえず、速攻で円環の理に導かれてしまうような子がいなくて、ホッとした…というのは、余談。
【ここまでの内容に関して】
オフセットでは、実は、織莉子達の過去の行動と、まどか存続作戦の際には、さらに、モバゲー版オリジナルの魔法少女チームが関わっていました。
あと、ほむらのループ時の説明も、もう少し詳しく描いていました。
ですが、それ等を全てネットに上げてしまうと、オフセットを作った意味がなくなってしまいますので、あえて差別化を図らせて頂きました、ご了承下さい。
ちなみに、モバゲー版オリジナルの魔法少女チームは、織莉子が助けようとして間に合わなかった、二人目の子の関係者です。
作品名:魔法少女おりこ★マギカR 作家名:PN悠祐希