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PN悠祐希
PN悠祐希
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魔法少女おりこ★マギカR

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■ 第5話 そして…これから ■



「…ということは、あの子は…まぎれもなく…」
 ほむらが、声を震わせながら、そう問いかけてきた。
「そう…まどかさん本人よ」
 織莉子は、そう答えた。
「…そんな…でも…なら、どうして?…なんで私を?…」
「あなたを見ても、なぜ、名前を呼んでくれなかったのか…ですか? 確かに、彼女が、本当の まどかさんならば、あのような反応は、多分、ありえませんものね…」
 ほむらの疑問に、織莉子が、そう応えた。そして…
「そう…今の彼女は、まどかさんであって、まどかさんではない…『まどかさんだった人』…そう言った方が適しているかもしれない状態なの…」
 すぐに、そう説明を加えた…

       * *

 私達にとっては、世界が再編された日の、翌朝…
「あれ…ここは?…どこ?…」
 私の家の一室のベッドで、まどかが目を覚ました。
 正直、ホッとした。助けたは良いけど、二度と目を醒まさないなんてことになったら、どうしよう…とか、少しは考えてしまっていたからだ。
「おはようございます」
 その時、様子を見ようと、その部屋を訪れていた私は、見憶えのない部屋での起床に驚く彼女に、挨拶した。
「…あの…あなたは?」
 まあ、当然の質問だ。彼女は、私のことなど知りはしないのだから…
「私は、美国・織莉子。よろしくね」
「あ…よろしくお願いします」
 自己紹介した私に、彼女は、その時は、そう応えた。

 彼女を朝食に誘い、二人でダイニングにきた時、ちょうど、キリカもやってきた。
「あ! 君、目を覚ましたんだ。良かった良かった…」
 キリカが、そう言いながら、、彼女が着いていたテーブルの席の、正面の席に、ドカッと腰を下ろした。
 私は、彼女の相手をキリカに任せ、朝食の用意を始めた。それでも、二人の会話には、耳を傾けていた…
「私は、呉・キリカ。具合は、どう?」
「あの…具合って…私、何かあったのでしょうか?」
 彼女は、具合のことを訊かれた理由が解らなかったようで、そう訊き返してきた。
「何か…って、君、昨日のこと、何も憶えてないの?」
 キリカが、不思議そうに、そう質問で返した。
「昨日のこと?…」
 彼女は、それを思い出そうとしてか、真剣な表情となり、面を下げた。しばらく、そのままでいたが、そのうち、顔色が悪くなり、体もブルブルと震えだした。
「き、君?…大丈夫?」
 キリカが、慌てて、そう訊ねた。
 しかし…
「私…何も憶えてない…昨日のこと…それ以前のことも、何も…なんにも、思い出せない…思い出せないよ…」
 彼女は、怯えるように、そう口にした。
「まさか…あなた、自分の名前は?」
 さすがに心配になって、料理を作る手を止め、私は、そう訊いてみた。
「名前?…私の、名前…思い出せない…わからない…私は、誰なの?…いったい、私、どうなっちゃってるの?」
 彼女は、いよいよ、混乱してしまった。

 それは、私とキリカも同じだった。
 そう…彼女は、完全に、《まどか》としての記憶を、失ってしまっていた。
 キリカのおかげで、まどかの身体とソウルジェは、確かに、この世界に残すことができた。
 しかし、私達が助けられたのは、本当に身体と魂だけだったのだ。
 昨日、彼女を床に就けるまでの間、私とキリカは、彼女のソウルジェムが保有する魔力の大きさを探ってみた。その大きさは…せいぜい、一般レベルの魔法少女程度…世界を再編させられるような魔力は失われていた。
 そして、記憶まで…
それは、彼女が、魔法少女になった理由…つまり、想いと意思までもが、失われたということに、他ならない。
 要するに、魔力も、意思も、記憶も、全て《円環の理》という新たな概念となり、この世界に残った身体から失われてしまった…ということだ。

 だが、今、それを彼女に理解させることは、不可能だ。いや、そもそも、それを教える必要はない。
 もともと、存在すらしていないはずの彼女を、無理矢理、この世界に引き止めたという状況だけに、おそらく、彼女の記憶がよみがえることはないだろう。
 ならば、大事なのは、これからだ。
「どうせさ…この世界では、私達以外、誰も、この子のこと、知っている人がいないんだからさ…この子も、全て忘れちゃってるくらいの方が、良いんじゃないかな?」
 キリカが、私に、そう耳打ちした。
 そうかもしれない。彼女にだけ記憶が残っている状態で、再編前の世界で親しくしていた人物…例えば、両親と出逢ったとしたら、どうなるか…
 愛する人達に、『あなた誰?』などと言われようものなら、その絶望感は、計り知れない。例え、頭で解っていても、なかなか耐えられることではないだろう。
 ならば…あくまでも、私達の勝手な解釈だが…記憶がない方が、誰も彼女を知る者がいない世界で生きていくには、彼女にとって、むしろ都合が良いのかもしれない。

 そうとなれば、まずは、彼女を落ち着かせてあげなくては…
「あなたはね…昨日の夜、近くの公園で倒れていたの…」
 私は、不安にかられたままの彼女に、説明を始めた…
「身元が判るような物は、何も持っていなかったわ。本当は、警察に任せるべきだったのでしょうけど…でも、ある理由から、私は、それは適切な判断じゃないと考え、さいわい怪我とかもなさそうだったし、この家に連れて帰ることにしたの」
 彼女は、不安そうな表情のままながらも、私の話しを、ちゃんと聞いてくれていた。
 だから、私も、少しだけ、込み入った話しをすることにした。私は、左手の中指にはまっている、魔法少女となった者の証ともいえる指輪から、自分のソウルジェムを出現させて見せた。
「え?…宝石が…突然、現れた?」
 さすがに、ビックリしたようだ。だが…
「あなたの指にも、私やキリカと、同じ指輪がはまっているわ。確認してみて」
 私は、そう促した。
 彼女は、慌てて、自分の左手を確認した。その中指にも、指輪がはまっていた。私やキリカと同じようなデザインであることも、判ったようだ。
「ということは…私の指輪からも、宝石が出るの?」
「試してみたら? コレと同じ物を、手の中に出現させるイメージを浮かべれば、簡単に出てくるわ」
「う、うん…」
 彼女は、半信半疑といった様子だが、左の手の平を上に向け、そこに右手を添えるようにしながら、言われたとおりに指輪に向かって念じるような仕草を見せた。
 すると、手の中に、桃色に輝くソウルジェムが、出現した。
「ほ、本当に出た!」
「つまり…あなたは、私達の同族…魔法少女なの。その宝石…ソウルジェムが、その証」
「え?…魔法少女?…なんですか、それ?」
 まあ、いきなり魔法少女などという言葉を聞かされたりすれば、そういう反応になるだろう。
「それは、また、ゆっくりと教えてあげる。とにかく、あなたが、私達と同じで、普通の人間じゃないことが判ったから…だから、警察とかには、任せられないと思ったの」
 私は、ハッキリと、そう告げた。
「そんな…記憶がないだけじゃなくて…私、普通の人ですらないんだ…」
 彼女が、自分のソウルジェムを見つめながら、そう呟いた。否定しようにも、その手のモノが、少なくとも普通ではないことだけは証明してしまっていた。