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PN悠祐希
PN悠祐希
novelistID. 37045
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魔法少女おりこ★マギカR

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 今の まどかに、そのまま当てはまるように思えるわ…
 そう、まどかは、この世界では、存在していたことすら無かったことになってしまっている。つまり、存在していても、誰も彼女のことを知らない…誰も、彼女が『まどか』と認識できない以上は、やはり、まどかは存在していないのと同じ…ということよ」
 ほむらは、淡々と、そう語った。
「それじゃあ…私は、どうしたら…」
「この世界とのつながりを作る…それしかないわね」
「世界とのつながり?…それは、どういうこと?」
 織莉子には、ほむらの言葉の意味が、すぐに理解できなかった。
「まどかに、この世界の人と、親密な関係を持たせる…失ってしまって、取り戻せもしないなら、新たに作る…ただ、それだけのことよ。もっとも、これは、多くの魔法少女が、逆に失ったり、捨てていくものだけど…あなたや、私のように」
 ほむらが、そう答えた。
「・・・・・・」
 織莉子は、その言葉に、何も言い返せなかった。
「そういう意味では、魔法少女になった時点で、私達は、すでに、この世界の正統な住人では、なくなっているのかもしれないわね」
 ほむらが、そう続けた。
「でも…それは、どうあれ、自分で選んで決めたこと…
 だけど、あの子は、自分の意思で、この世界に残ったわけではないわ。だから、せめて今からでも、あの子自身に選ばせてあげたいの…」
 織莉子達や ほむら達とだけ関わり、普通と関わることなく、魔法少女としてのみ生きるか…
それとも…
 すると、ほむらも、織莉子の想いを察したようで…
「とりあえず、明日から毎日、魔獣の出現予想ポイントの探査の際でもいいから、まどかを連れ出して、この場所に行ってみるといいわ」
 そう言いながら、《その場所》を教えた。
「…ですか、ここに、いったい何が?…」
 織莉子は、やはり、ほむらの真意をはかりかね、訊き返してしまった。
「なんでもかんでも、あらかじめ判っていなければ進めないようでは、この先、まどかを支えることなんて、できやしないわ。未来が見えないというのなら、これからは、予知や、予備知識なんかに頼らず、出たとこ勝負で行動してみる必要もあるんじゃないかと、私は思ったのだけれど?…
 これまで、あなたは、最初に予知をした未来を守る為、さらに、それまでに起こる出来事をいくつも予知し、必要に応じて、見守ったり、あるいは、変えようとした。それは功を奏し、本当は死んでいたはずの者を助け、消えてしまうはずだった まどかを存在させた…
 だけど、未来なんて、判らないのが当り前じゃない? だったら、未来が見えていようが、いまいが、関係なく、目の前の現実から、一歩一歩、切り開いていくしかないんじゃないかしら。私は、再編前の世界における、あなた達のしてきた事を知って、そう思ったの。だから、当の、あなたが、ちょっと未来が見えない程度で、へこたれないで欲しいわ」
 ほむらが、少し、厳しい口調で、そう言った。
 織莉子は、フッと笑みを浮かべ…
「やはり、あなたに相談して、正解だったわ。まずは、あなたが教えてくれた場所に、あの子を連れて行ってみるわ。できれば、あなたにも、同伴して頂きたいのだけど…駄目かしら?」
 そう申し出た。
「あなた達さえ良ければ、喜んで同行させてもらうわ」
 ほむらも、嬉しそうに、そう答えた。しかし…
「ただ、最後に、もう一つだけ、答えて欲しいことがあるんだけど」
 そう告げた。
「…なにかしら?」
 織莉子が、その質問を、要求した。
「まどかが世界を再編する光景を予知し、あなたは、数多の魔法少女と、まどかまでも、助けたいと考えた。どんな手段を用いてでも…という覚悟までして…
 どうして、あなたは、基本的には赤の他人だったはずの まどか達の為に、そこまでしようと思えたの? 何が、あなたを、そこまでさせたの?」
 ほむらが、そう問いかけた。
 織莉子は、目を閉じ、その時の自分の心を思い出しながら、答えた…
「そうね…どうしてかしらね…
ただ、あの光景を予知した時、まどかさんと、多くの魔法少女を、なんとしてでも救ってあげたい…そんな思いが、まるで発作のように湧きあがってきたわ…
そして、その願いが叶ったなら…
ようやく、償うことができる…許される…
 そんな思いまでもが、込み上げてきたわ。自分でも、何を償って、何に許されるのか、まったく解らないのだけれど…
 もしかして、あなたが歩んできた《道の途中》に、その理由があったりするのかしらね?」
「…どうして、そう思うのかしら?」
 この織莉子は、ほむらのことを知ってはいても、再編前の最後の世界で関わっていない以上、時間逆行の能力のことまでは知らないはずだ。
「別に…なんとなく、そう思っただけ…特に理由はないわ。しいて言うなら、あなたの、あの子を見る目…それに宿した、あの子に対する想い…出逢ってから、一ヶ月にも満たない時間を共にしただけにしては、あまりにも深い…もっと、果てしなく長い時間をかけて募らせたような…そんな感じがしたの…
そして、最初に対した時の、あなたの私達に対する敵意に満ちた瞳…あきらかに、初めて顔を合わせた者に見せるソレではなかったわ。そう…まるで、妹を殺したと言った瞬間の双子のお姉さんのような瞳をしていた…
だから、あなたが、あの子の為に生きてきた過程に、今の私ではない私が、関わっていたのかもしれない…そんな、突拍子もない事まで、思い浮かべてしまったわ」
 織莉子が、そんなことを語った。
 すでに失われた時間軸での出来事である。まどかや、多くの魔法少女、さらに大勢の一般人を巻き込んで殺した罪も、もちろん、失われている。当然、今の織莉子の記憶にも、残っていない。
 それでも…魂かなにかに、その時の想い…罪の意識が、深く刻み込まれてしまっていたのかもしれない。
 だからというわけではないが…
「再編前の世界の私には、時間を逆行させる能力があったの。その能力で、何度も何度も、同じ時間を繰り返してきたわ。まどかを助ける…それだけの為にね…」
 ほむらは、その事を告げ…
…かつて、出逢った時…私は、織莉子が、まどかを殺すのを阻止できなかった…
…そして、今回…織莉子は、エリーゼの助力を得ていたとはいえ、私が何度やっても助けることができなかった まどかの命を、どういう状態であれ存続させてくれた…
…何度繰り返しても、失敗し続けた、私…
…二度とも、《たった一回》を成功させた、織莉子…
 ここで思い出されるのは、かつて、織莉子が、ほむらに放った言葉…

『私は、貴方とは違う』
『道が昏(くら)いなら、自ら陽を灯す』
『違う道に逃げ続ける貴方が、私に適うはずがない』

「…本当に、そのとおりだったわ…最後の最後まで…」
 ほむらは、無意識に、そう口にしてしまっていた。
「え?」
「あ、いえ…結局、あなたには適わなかったんだな…って、あらためて認識しただけよ」
 自嘲気味に笑いながら、ほむらは、そう言った。
 だが、今は、あまり悔しいと思っていなかった。
 適わなかった相手が、大きすぎた…それを認識し…
 そんな相手が、自分を頼ってくれた…それが、なんとなく嬉しかった。