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PN悠祐希
PN悠祐希
novelistID. 37045
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魔法少女おりこ★マギカR

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感情を持ち合わせていないというキュゥべぇでも、この まどかの願いには、驚きをあらわにした。なぜなら…
『そんな祈りが叶うとしたら…それは時間干渉なんてレベルじゃない…因果律そのものに対する反逆だ…君は…本当に、神になるつもりなのか!?』
「神様でもなんでもいい…これまで希望を信じてきたみんなを泣かせたくない…最後まで笑顔でいて欲しい…だから…それを邪魔するルールなんて…壊してやる! 変えてやる! それが、私の願い…」
 まどかは、キュゥべぇを、キッと見つめ…
「さあ…叶えてよ!…インキュベーター!!!」
 次の瞬間…辺りを、巨大な魔力の光が包み込んだ…

 光が治まると、そこには、魔法少女スタイルに変身した まどかが立っていた。
 まどかは、手に持った弓を掲げ、空に向かって光の矢を放った。
 光の矢は、はるか上空で数多の細かい光に分散し、飛んで行った。
 その光の一つ一つが、まどかの想い…
これまでに力尽き、絶望に打ちひしがれながら魔女と化してしまっていた、全ての魔法少女の心に、安らぎ与える為に放たれた、希望の光…
 そして、光が、再び、まどかに集中し始める…
 全宇宙…過去も未来も、全ての時間軸のソウルジェムが、グリーフシードに変わる前に、まどかによって浄化かれていた。

そんな姿になる前に…私が受け止めてあげるから…
あなたはもう、誰も呪わなくていいんだよ…

 気がつくと、私は、今度は、まったく光のささない暗闇の中にいた。
「…ここは…」
『そうか、君もまた、まどかと同じ、時間を越える魔法の使い手だったね…』
 そんなキュゥべぇの声が、頭に響いてきた…
『彼女がもたらした、新しい法則に基づいて、宇宙が再編されているんだよ。見届けてあげるといい…鹿目・まどかという存在の終末を…』

 すると、暗闇の中に、まるで彗星のような…地球すらも覆い尽くしてしまう程に巨大な、黒い塊が出現した。

『あれがなんだか解るかい?…彼女の祈りがもたらした、ソウルジェムさ…
 一つの宇宙を創りだすに等しい希望が遂げられた…
 それは、即ち、一つの宇宙を終わらせるほどの絶望をもたらすことを意味する。当然の結果さ』

 その暗黒の塊…最悪の魔女が、再編された世界を、包み込もうとしている…
「あ…」

『大丈夫だよ、ほむらちゃん』

「…! まどか!?」

『私の願いは、全ての魔女を消し去ること…本当に、その願いが叶ったんだとしたら…』
 突然、闇の世界に、まどかが現れた。白い衣を纏い、髪の毛も伸びた、神々しい姿で…
 まどかは、弓を、黒い塊に向けてかまえ…
『私だって…絶望する必要なんて…ない!』
 光の矢を放った。
 まどかの願いが生み出そうとしていた魔女は打ち砕かれた。いや、そうじゃない。他の魔法少女と同じように、魔女化する前に、ソウルジェムが浄化されたのだろう。

 こうして、まどかの祈りによって、世界は再編された。
 しかし…

『鹿目・まどか…これで、君の人生は、始まりも終わりもなくなった…
 この世界に生きた証も、その記憶も、もう何処にも残されていない…
 君という存在は、一つ上の領域にシフトして、ただ一つの概念となり果ててしまった…
 もう、誰も君を認識できないし、君もまた、誰にも干渉できない…君は、この宇宙の一員ではなくなった』
 キュゥべぇが、まどかに、淡々と事情を説明する声が響いてきた。

「なによ…それ…冗談じゃないわ…これが、まどかの望んだ結末だっていうの?…死ぬより、もっと酷いじゃない!」
 私には、そんな事、とてもじゃないが、納得できなかった。
 だけど…
「ううん…これでいいんだよ…」
 まどかが、再び私の傍に訪れ、語ってくれた…
「今の私はね、過去と未来…かつてありえた宇宙、ありえたかもしれない宇宙、みんな見えるの…
 だからね、全部わかったよ…ほむらちゃんが、私の為に、頑張ってくれたこと、なにもかも…
 何度も泣いて、傷だらけになりながら、それでも私の為に戦い続けてくれて…
 こんなにも大切な友達がいたんだって…ずっと気付いてあげられなくて、ごめんね…
 今の私になったから、本当のあなたを知ることができた…ほむらちゃんは、私の最高の友達だったんだね」
「…っ…でも…まどかは、それでいいの? 帰る場所もなくなって、こんな所で独りぼっちになって…みんな、あなたのこと忘れちゃうのに…」
「独りじゃないよ…これからの私はね、いつだって、どこにでもいるんだよ…ずっと、ほむらちゃんの側にいるよ」
「…そんなの嫌…私だって、まどかのこと、忘れちゃうのに…二度と、感じ取ることさえできなくなっちゃうのに…」
 そんな事を言って、駄々をこねる私に、まどかは、髪を結っていた赤いリボンをほどき…
「諦めるのは、まだ早いよ…魔法少女はさ、夢と希望を叶えるんだから…ほんの少しならん、本当の奇跡が起こるかもしれない」
 そして、私に、そのリボンを託した…
『ここまで付いてきてくれた ほむらちゃんだもの…きっと、私のことも、忘れずにいてくれるよ…』
 まどかの姿が、光となって、世界に溶け込んでいく…

「まどか!?」

『ごめんね、わたし、みんなを迎えにいかないと…それまで、ほんの少し、お別れだね』

「待って!」

『いつか、またもう一度、会えるから…』

「行かないで…まどかあああぁぁぁ…」

       * *

 気が付いたら、私は、新しく再編された世界の、美樹・さやかが、《魔獣》との戦いで力尽き、円環の理に導かれて消えてしまった直後の場にいた。
 まどかから託されたリボンと、記憶を持ったまま…

 そう…今の、この世界は、まどかの祈りによって再編されて構築されたモノ。
 魔法少女は、魔女になることはない。
 インキュベーターとの契約も、《全て》を教えられたうえで行われるようになっていた。
 願いを叶えてもらい、魔法少女となった者は、魔獣と戦い、ソレを倒すことでグリーフシードを得る。
 この世の《呪い》が尽きない限り、それが具現化した《魔獣》という存在も、次々と湧いて出てくる。
 もう、魔法少女同士で、グリーフシードの奪い合いをすることもない。
 魔法少女は、最後まで、人々に希望をもたらす存在でいられるようになったのだ。