Secret Operations
「いい加減にその口調を直さないのか?」
「何故その必要がある? 直しても徒労にしかならん。余計な事を喋っている暇があったら自分の仕事をしたらどうだ?」
「…相変わらずきつい性格してるな。それじゃ、職場でも友達いないだろ。」
「無駄な馴れ合いは嫌いだ。表面だけの付き合いが何か役に立つのか?」
「役に立つとかそういう事じゃないだろう。」
「雅、お前も判ってないようだな。役に立つ存在じゃないといずれ自分が損をする事になる。相変わらず、甘ちゃんな性格は変っていないようだな。」
「……悪かったな。」
「お前みたいな奴はガキの子守ぐらいが性に合ってるな。まあいい、さっさと行け。もたもたしているようならお前でも容赦なくはっ倒すぞ。」
安藤さんとその自衛隊員がそう会話した後、安藤さんは僕達を連れて、その場を離れた。北舎と南舎を繋ぐ渡り廊下に続く扉を開け、渡り廊下に入ると、安雄君が言う。
「何だよあいつ! 感じ悪いな!」
安雄君がそう言うと、安藤さんが申し訳なさそうに言う。
「すまんな、あいつはあんな性格をしてるけど悪い奴じゃないんだ。許してやってくれ。」
安藤さんがそう言うと、僕はある事を尋ねた。
「さっきの自衛隊員は、安藤さんの知り合いなんですか?」
僕がそう訊くと、安藤さんはゆっくりと答えた。
「ああ、あいつは『山本(やまもと)誠司(せいじ)』。高校時代からの友人だよ。あの性格は高校生の時から変わってない。何度も直せとは言ってるんだけどな。」
安藤さんがそう言うと、はる夫君が言う。
「……ふ〜ん。頑固なんだな。」
はる夫君がそう言った後は、誰も何も言わなかった。
やがて、職員室の前まで来た。そして、その扉を開けた。
扉を開けた先には、数人の警察官がいた。窓の方に多く配備されており、窓ガラスが幾つか割れている事から推測すると、幾つかのゾンビが窓から侵入しようとしてきたんだろう。
僕がそう思っていると、安藤さんが、警察官の一人に話し掛けていた。恐らく、裏口の鍵の事を話しているんだろう。
数分すると、安藤さんがこちらに向かってきた。そして、僕等に言った。
「職員室のキーボックスを確認してみたが、裏口の鍵は無かった。」
安藤さんがそう言ったので、僕は自分の考えを言った。
「とすると、誰かが持ち出したか、それとも誰かが紛失したかですね。いずれにしても、探すのは難しそうですね。」
僕がそう言うと、安藤さんが言う。
「そうだな、……こうなったら、学校中を捜すしかないが、時間が掛かりそうだな。」
安藤さんがそう言うと、安雄君がアイディアを出した。
「そういえばさ、この学校の関係者も此処に避難してるんだろ。なら、その人達に訊き込みをしていったらいいんじゃないか?」
安雄君がそう言うと、はる夫君は相槌を打つ。
「そりゃいいな。運がよければ、鍵の在り処を知ってる人がいるかもしれないし。」
はる夫君がそう言うと、安藤さんも言う。
「そうだな、確かに現状ではそうするのが得策かもしれないな。…よし、まずは体育館にいる人達からあたってみよう。」
安藤さんはそう言いながら、職員室を出た。安雄君とはる夫君も安藤さんに続いて職員室から出た。その時、ふと時計が目に入った。時計の針は、10時を指していた。僕はその時、嫌な予感が脳裏を過(よ)ぎったが、無視をして職員室を出た。
作品名:Secret Operations 作家名:MONDOERA