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Secret Operations

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ACT2『Genocide』


僕達は職員室を出ると、体育館に向かった。

体育館にはかなりの人数の人達がいた。
「思ったよりも人がいるんだな。」
 安雄君が体育館を見回しながらそう言った。
「ここにいる人達は、子供や老人等、戦う力が弱い者達だ。…まぁ、お前達みたいに此処に来た時から、武器を持っていた子供もいたが。」
 安藤さんが僕達にそう話しかけると、続けて言う。
「四人一緒に行動しても時間の無駄だ。分かれて訊き込みをしよう。」
 安藤さんがそう言うと、僕達は四方向に分かれて訊き込みをした。



そして数分後、訊き込みを終えると、体育館の入り口に集合した。四人の話をまとめると、”鍵の在り処は判らなかったが、技能主事の人なら鍵の場所が判るのではないか”という事であり、技能主事の人は、『視聴覚室』にいた筈とのことだった。
僕達は、体育館を後にし、視聴覚室に向かった。視聴覚室は、北舎の二階にある。そこに行くまでに周囲の様子を見たが、警察官が警備をする他は特に何も無かった。

やがて、視聴覚室に着いた。視聴覚室の中には、数人の大人たちがいた。そして、その中には、技能主事の人がいた。
「ちょっと失礼します。この小学校の技能主事の方ですよね。訊きたい事があるんですが、いいですが?」
 安藤さんが技能主事の人にそう言った。すると、その人は答える。
「はい、何でしょう?」
 技能主事の人がそう言うと、安藤さんは尋ねる。
「実は今、裏口の鍵を探しておりまして。それで、職員室のキーボックスをあたってみたんですが、見当たらないんです。それで、貴方なら何か解ると思い、此処に来たんですが。」
 安藤さんがそう尋ねると、その人は答えた。
「裏口の鍵ですか、それなら確か、………理科担当の河口先生に渡してた筈です。残念ながら、河口先生が何処にいるかは解りませんが。只、今日は出校していた筈ですから、学校にはいる筈です。」
 その人がそう言うと、安藤さんは言う。
「そうですか。ご協力ありがとうございます。」
 安藤さんはそう言うと、視聴覚室を出た。僕達三人も、安藤さんに続いて視聴覚室を出た。視聴覚室の扉を閉めると、安雄君が口を開いた。
「理科の河口先生………って俺は知らないな。出木杉、何か知ってるか?」
 安雄君が僕にいきなり話を振ってきた。僕はゆっくりとそれに答えた。
「河口先生は確か、6年1組の担任だった筈。僕達は4年だから、知らないのも無理はないね。」
 僕がそう言うと、安雄君は言う。
「へぇ、出木杉よくそんな事まで知ってるなぁ。」
 安雄君がそう言うと、はる夫君も言う。
「でも、それが解っても、河口先生が何処にいるか解らないじゃんか。」
 はる夫君がそう言うと、安藤さんが言う。
「取り敢えず、もう一度体育館に戻ろう。今度は、河口先生の行方を知っている人がいないかを探すんだ。」
 安藤さんがそう言うと、僕達はもう一度、体育館に向かった。






十数分後、僕達は訊き込みを終えた。色んな証言が得られたが、一番有力なものは、"惨劇が起こる直前か直後に、理科準備室に入っていく河口先生を見た。"という証言だろう。僕達はその証言通りに、理科準備室に行く事にした。しかし、理科準備室には錠が掛かっているかもしれないと思った僕は、先に職員室に行く事を提案した。僕が提案した通りに、先に職員室に向かうことにした。そして、キーボックスから『理科準備室』と書かれた鍵を見つけた。その鍵を手に取ると、僕達はすぐさま理科準備室に向かった。



やがて、理科準備室の前まで来た。理科準備室の扉を開けようとすると、案の定、錠が掛かっていた。僕は持っている鍵で開錠した。そして、扉をゆっくりと開けた。
扉を開けた先は、何の変哲も無い理科準備室だった。正面の奥には、人体模型があり、その右側に、理科室に通じる扉がある。僕達は、その扉に近づいた。その扉を調べてみると、錠が掛かっていた。
「…どうやら、錠がかかっているみたいだね。」
 僕がそう言うと、安雄君が言う。
「じゃあ、理科室には入れないって事か?」
 安雄君がそう言ったので答える。
「…まぁ、そうなるね。でも、理科室に河口先生がいるっていう確証は無いから、もしかしたら、理科室にはいないかもしれない。他の所を探してみようよ。」
 僕がそう言うと、安藤さんが言う。
「そうだな。開かないものはしょうがない。手掛かりは無いが、手当たり次第に捜すしかないだろうな。」
 安藤さんがそう言うと、僕達は理科準備室から出た。

すると、玄関の方が騒がしいのに気が付いた。
「何か、外が騒がしいな。何かあったのかな?」
 はる夫君がそう言うと、僕は答える。
「もしかしたら、ゾンビか何かが現れたのかもしれない。確かめてみよう。」
 僕がそう言うと、僕達は玄関に向かった。三階の渡り廊下を進み、南舎の階段で一階に下りて行こうとした時、南舎三階の南側の教室にある人物がいるのを見つけた。その教室には、その他にも一般市民や警察官がいたから、人がいる事には何もおかしくない。しかし、僕の目に入って来た人物は間違いなく、『金田正宗』だった。
――――――なんであいつがここにいるんだ? 金田正宗は旅館にいる筈だ。例え、B.C.W.の戦闘データを計る為だとしても、此処にいる必要は無い筈だ。…とすると、B.C.W.の戦闘の様子をじかに見てみたいって事か。今、金田は窓から外を見下ろしている。恐らく視線の先は、玄関付近の校庭だ。だとすると…!
そう考えた僕は、急いで階段を駆け下り、玄関に向かった。途中、誰かの声が聞こえた。多分、安雄君かはる夫君か安藤さんが僕の行動を不審に思って呼び止めようとしたんだろう。でも、それを気にしている余裕は無い。僕の予想が正しければ、この騒動で学校内は直ちに地獄に変わる。今から行っても間に合わないかもしれないけど、急いでいけば間に合うかもしれない。
そういう希望的観測は、玄関の先を見た瞬間に打ち砕かれた。玄関から見える校庭は、茶色をしていなかった。校庭は今や鈍い赤色に染まり、至る所に死体が横たわっていた。そして、校庭の中心には巨大なカメレオンがいた。……僕は、このB.C.W.を知っている。『バイオゲラス』だ。作戦書類の中にあった『Material-96 BIOGALLES』。そいつに違いないだろう。金田正宗は、この虐殺風景を見る為にわざわざこの学校まで出向いたんだ。
「SYAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!」
 バイオゲラスは突然咆哮を挙げて、何処かへと去っていった。後に残ったのは、玄関から校庭を見ている僕と、血まみれになった校庭だけだった。
「おい、出木杉! どうしたんだいきなり走って。」
 すると、後ろの方から、安雄君の声が聞こえてきた。僕は振り向かずにこの声に答えた。
「間に合わなかったよ。ついさっきまで、カメレオンみたいな巨大な生物が校庭にいた。多分そいつが警官達を虐殺したんだろう。」
 僕は、そう答えた。ふと後ろを振り返ると、安雄君とはる夫君、そして安藤さんが驚愕の表情をしていた。すると、学校内でいきなり悲鳴が挙がった。
「! 何だ、何があった!?」
作品名:Secret Operations 作家名:MONDOERA