ideal
『 - ideal - 』
昨日の夜、おれは船番だった。
島につき、ログがたまるまで時間があった。
1日づつの交代で全員がこの島でそれぞれ気分転換しようということになった。
初日の船番のおれ以外、全員船から降りていた。
横で眠る突然の訪問者のこいつ以外―――
「・・・エース、」
「・・・・ん・・・サンジ?」
「そろそろ、ウソップが戻ってくる。」
「・・・そんな時間か?」
「寝すぎ。」
「昨日は気持ち良かったな?」
「・・・・・腰痛ぇっつの。」
「介抱するぜ?」
「余計なお世話だ。」
サンジは枕元に置いておいたタバコを一本取り出して銜える。
その横に置いていたはずのライターが見当たらず、近くを探し出す。
すると、くすくすとエースが笑い出した。
「お前隠しただろ?」
「なぁ、サンジ。」
「・・・・・・・っ・・―――
顔を近づけ、サンジが口銜えていたタバコの先にエースは口付けた。
するとジジッとタバコに火がつく。
「おれが居るじゃん。」
「・・・・・まぁ・・・便利だな。」
「照れてるお前も可愛いな。」
「・・・・・っ・・さっさと起きて着替えろっ!!!!」
サンジに蹴られながらも笑うエース。
ウソップと交代をして、サンジは船を降りた。
当然のごとく、エースも一緒に降りた。
「・・・買出しだからな、荷物持てよ?」
「お安い御用だ。」
「・・・・燃やすなよ。」
「あ・・・・バレた?」
「バレバレだ。」
「まっとりあえず朝飯食おうぜ?」
「・・・そうだな、」
サンジが店を選び、そこで朝食を食べた。
まだ眠たかったのか、途中途中でエースは眠った。
その度にサンジに蹴られた。
店を後にした後は、市場を回り、食料を買い込む。
両手いっぱいになった食材を置きに一度船へ戻る。
するとそこには甲板で堂々と眠りこけたウソップが居た。
燃やすか?やってくれ。という不穏な会話にも気づかないウソップの鼻の先が火傷した。
ついでに2人分の昼食を準備するサンジ。
出来上がったという声に喜ぶ2人、だがテーブルを見て一人はため息をつく。
「いっただきまーす!!!!」
ウソップは喜んで食べ始める。
だが、エースは出来上がった料理を持って甲板に出て行った。
「・・・・っおい!!」
「・・・・・。」
「食わねぇのかよ、」
「お前がそんなにおれと半分個したいとはな。」
「・・・・っ・・・!?」
「こっち座れよ、一緒に食おうぜ?」
「・・・・・・ったく、ウソップ居んだぞ?」
「だから、外に来たんじゃねーか。」
「・・・・・・。」
サンジは昨日の強引なエースを思い出し、
これは言っても聞かないなと思い、素直に隣に座った。
「今日はおれが食わしてやる。」
「あーはいはい。」
「サンジあーーーん。」
「ハートマークつけんな。」
エースはサンジ、自分、サンジ、自分と交互に料理を口に運んだ。
心なしかサンジのときは量が多い。
そんな優しさがサンジの心をくすぐった。
昼食の後、エースはサンジをデートに誘った。
ある程度の買出しは済ませたので、サンジはついていくことにした。
町の方を適当に歩き、気になる店には気ままに立ち寄った。
陽が傾き始め、夕飯は何処で食べようかなどと話していた二人の後ろから低い声がした。
「・・・・・ゾロ・・。」
「サンジ一緒に来い。」
「・・・・なっ・・なんだよ突然、」
「いいから、来い。」
「・・・・・。」
肯定しか認めないという勢いでサンジに低く言い放つ。
「サンジ、おれのことは気にすんな。」
「・・・・・エース、」
「行ってもいいんだぜ?」
「・・・・・・・・悪ぃ、エース・・。」
「謝んなくていい。」
サンジの頭にポンと触れるとエースは踵を返していった。
少しの間見送った後、サンジはゾロへと振り返った。
「・・・なんなんだよ、」
「・・・・・・・。」
「・・っ・・・・ちょっおい!!!!」
ゾロは無理矢理サンジの腕をひっぱり、連れ歩いた。
そして連れてこられた場所はホテル。
迷わずに入っていったゾロ。
今朝までここにゾロが居て、誰かと過ごしたのかと思うと吐き気がした。
「・・・・・やめっろ!!!!!!!!」
「・・・・っ・・・」
本気で抵抗するサンジに怒りが込み上げ、
ゾロは思い切りベッドに向かって投げ飛ばした。
「・・・・・痛・・・っ・・・」
その衝撃でサンジは頭を強く打った。
朦朧とする意識の中、ゾロが上にのっかってくるのが見えた。
体重がのっかる、この重さが好きだった。
「ヤるぞ。」
「・・・・・好きにしろ。」
不思議と心は冷静だ――――