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ideal

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「・・・・・島に着けば女とヤってた。それはアイツも知ってる。」

「・・・・・・嘘だろ・・?」

「いや、本当だ。
アイツも分かった上でおれを送り出してた。おれたちは元々そんな仲なんだよ。」


「じゃあ、あの日サンジくんがボロボロで帰ったのは何で?」

「アイツがエースとヤったんだ。」

「・・・・チョッパー一緒に外へ出ましょうか。」

「・・・・・・・ぅ・・ぅん。」

ロビンが会話を遮らないようにチョッパーに声をかけ、外へ出た。

「・・・でもっ・・お前だって他の奴と・・その寝たんだろ?お互い様じゃねーか。」

「・・・ムカついたんだ。」

「勝手すぎるわよ。」

「分かってる。
分かってておれは嫌がるあいつを犯した。」

「・・・・・・・・・っ・・」

「・・・っ・・」

「ゾロ。」

「ル――――――

ゾロがルフィを振り返った瞬間、容赦なくルフィは殴り飛ばした。
そしてナミが吹っ飛んだゾロの頬を思い切り引っ叩く。
ウソップも呆然とするゾロの頬を左手で殴った。

「サンジは仲間だ。お前も仲間だ。
だから殴った。わかるだろ?」

「・・・・・・・・・ぁぁ。」


物音に気づき、サンジが飛び込んでくる。
怒りが頂点のときの顔のルフィに涙を流すナミ、珍しく怒りを露にウソップ。
そして恐らくルフィに殴られたであろうゾロ。
状況がまるで理解できなかった。

「・・・・おい?・・・・お前らどうした・・・?」


「・・・・。」

ゾロが立ち上がり、サンジの横を通り過ぎて行った。
下を向いていてその表情は覗えなかった。

「・・・・なぁルフィ・・どうしたんだ?」

「なんでもねぇ。」

「ナミさん?おい、ウソップ!!!」

「・・・ごめんなさい。」

「・・・・。」


ナミの言葉とウソップの嘘がつけない顔で分かった。
ここで何があったのか。
どうしてそんなことになってしまったのかは分からない。
それでも、きっと皆はもう知ってしまったのだろう。



「・・・・・・殴ってくれてありがとな。」


サンジの精一杯の言葉だった。



事情を知った仲間達は何も言わなかった。
おれが選んだ選択を。
それがエースのまっすぐな想いを踏みにじると分かりながら、
その手を握ってしまったおれの選択を。



甲板に出るとゾロが海を眺めていた。
サンジは少し息を吐き出して近づいていった。


「お前、殴られたかったんだろ?」

「・・・。」

「馬鹿みてぇ。」

「・・・。」

「でも、お前のそういう不器用な所が・・・」

「・・・・。」

「・・おれには無理だったって事だな。」

「・・・なぁ―――

「おれはもう気にしてねぇ。
おれはこの船を降りる気も無い。
お前が仲間な事に変わりは無い。だから、謝るな。」

「・・・。」

「んじゃな、」

「待っ・・

ゾロは離れようとするサンジの腕を思わず掴んだ。
だが、掴んだものの困惑するゾロの様子にフッとサンジは笑い出した。


「おい、この手離せよ。」


「・・・。」


「もうお前にはおれに触れる資格はねぇ。」


「・・・っ・・」


「お前を幸せにすることがおれには無理だった。
お前にもおれを幸せにすることが出来ない。不可能だ。」

「・・・・。」

「おれが欲しいのは体じゃねぇ。」



いつだって
いつだってっっ


ここだったんだよっっ!!!!!!!!!!


「・・・コック、」

「ゾロ、分かるか?
おれの心臓はもうお前に反応しない。」

「・・・・。」

「おれの心も、もうお前に反応しない。」

「・・・・。」

「いままで、好きでいさせてくれてありがとな・・・。」


「おれは・・、」


「じゃあな。」



ゾロの静かな言葉にかぶせてサンジは別れの言葉を言った。
これで本当に、本当に終わった。


長い長い恋。


愛に変わることを許されなかった恋。





作品名:ideal 作家名:おこた