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apple blossom

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「アンディィィィイッ……」
 逃げよう。
 一応その場でおとなしく待っていたアンディは、現れたバジルの様子に息をのんでくるりと背を向けた。
 相手はたいそうご立腹だ。
 頭から湯気を立てるという言葉があるが、まさにそれだ。
 手に鉄パイプとか持っていないのがいっそ不思議なくらいだ。
 それでも、身の危険をひしひしと感じる。
 歩き出したところ、がっしと肩をつかまれる。
「待て、コラァァァッ……」
 振り向くと鬼の形相のバジル。
「ごめん、バジル」
 一応、謝ってみる。
「逃げるな、てめぇっ……」
 目をつり上げて何かを言いかけたバジルがふと口をつぐんだ。そして怪訝な顔をして、くんくんと鼻を動かす。
「……アイツの匂いがする」
 嫌そうに顔をしかめてきょろきょろと辺りを見回す。
「一緒なのか? あの汚いトマト頭と」
「……ウォルターのこと? 一緒じゃないよ。ああ……出かけにフレグランスつけられてさ」
 そんなに匂うのかと自分の手首の匂いを嗅いでみるが、よくわからない。
 微かに辺りに甘い匂いがするくらいだ。
 だが、バジルは不快そうに顔を歪めて、きっぱりと言った。
「それ、落とせ」
「え」
 いきなり何を、とアンディはぽかんとする。
 バジルはアンディの肩にかけていた手を腕をつかむことに変えて、ぐいと引っ張る。
「こっちに公園がある。キレイに洗い流せ」
「いや、そこまでしなくても」
「これから図書館に行くのに邪魔になるだろうが」
 断固としてアンディを公園に連れて行こうとする。
 アンディは仕方なく足を動かしながら、それでも遅刻と迷子についての追及を逃れたことにホッとしていた。