Holy and Bright
「あ……ジュリアスの意地悪!」
叫ぶとアンジェリークはベッドに乗り、ジュリアスの背のあたりに場所を空けさせると肩をほぐし始めた。細身そうに見えたが適度に筋肉がついている。やはり大人の男性の肩だな、と思う。
「……思ったよりも腕っぷしが強そうだな、アンジェリーク」
「ふふ、そうですよー」
笑って言ってみたものの、ふとアンジェリークは手を止めた。
「……アンジェリーク?」
心配して振り返ろうとしたジュリアスは、いきなり首元を抱きつかれて驚いたようだった。
「どうした?」
静かにジュリアスが問う。
「……元気になってくれて……良かったと思って……!」
抱きついたままアンジェリークは泣いた。ジュリアスが手をアンジェリークの頭へ回し、ぽんぽんと軽く叩いてなだめてくれていたが、やはりアンジェリークは泣いたままだった。
この日以来、ジュリアスとはとても親しくなれた気がする。
……本当は、親しくなれた、と思う以上の気持ちを抱きつつ。
作品名:Holy and Bright 作家名:飛空都市の八月