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GUNDAM ALTERNATIVE 第1話[OUTSET]

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「御覧ください、我が社のEMS-07[ヘイスト]は必ず、悪質なテロ組織を駆逐する剣となる筈です」
[ヘイスト]の開発主任アメリア・セロンの目線はこれから戦闘が始まる村の方向にあった。

                  *

・南米エリア‐村部
「おい、またお前か!」
兵士の一人が再び倒れこんだ老人に小銃を向けた。老人は咳き込みながら言った。「ほんの少しでも・・、休みを・・・」
「革命の邪魔をするなら、邪魔な命だ」
銃声が響いた。老人の体は僅かに震え動かなくなった。
「おい、そこの連中、運んどけ」
発砲した兵士が村民に命じた。その時、青年の中で何かが弾けた
「お前ら!!なんでそんなこと出来るんだ!」
倒れた老人に駆け寄って言った。
「なにが革命なんだよ!!なにが自由だよ!!」
すると、周りにいた兵士たちが青年を抑え込んだ。
「お前も邪魔な命か?」
兵士は小銃を青年に向けた。
「これがお前たちの望んだことなのか?」
兵士は何も言わずにトリガーに指をかけた。その時、地面が振動し付近にある水たまりが揺れた。
「なんだ?」
兵士がいぶかしむ。今度は青年が口を皮肉らしく歪めて言った。
「お前たちの終焉の音だ」
すると、少し離れた所にある矢倉で見張りの兵士が叫んだ。
「MSだ!距離22・・・」
その瞬間、爆音が連続したと思うと矢倉が吹き飛んだ。兵士たちはパニックに包まれた。村民たちは茫然として動かない。銃を持った兵士も他の仲間に指令を出しながら走って行ってしまった。青年はすぐに避難を呼びかけるために村民たちに駆け寄る。爆音がした方に視線を移すとグレーの装甲を持つ巨人が彼らをまたぎ越していった。

「cat2は俺の援護。Cat3は村民たちの安全確認。ポイント23A、44Bだ」
cat2ことダニーが矢倉を吹き飛ばした直後に隊長から指令が入る。
「了解」
cat3ことマットは複唱し機首を指定されたポイントに向けた。自分は主戦場じゃないのかと思ったがすぐに考えをやめる。きっと隊長には考えがあるに違いない。それとも自分の能力不足を鑑みての采配なのか。いや、今は自分の任務に集中しなければ。村民は川沿いのポイントに避難しているはずだ。

 スティーブンとダニーは村と森林地の境目に移動していた。
「こちらcat2。南西方向からMBT及びAPC(装甲兵員輸送車)が3機ずつ移動中。Cat3を捕捉したようだ。オーバー」
「奇襲する。油断するな」
スティーブンは機体にライフルを構えさせ疾駆させる。MBTの主砲がこちらに向いたのを確認する。
「遅い・・・」
瞬時にMBTの装甲に55mm弾を叩きこみ破壊する。隣接していたMBTは照準を定める暇を与えられずにダニーの援護射撃で沈黙する。
「ナイスカバーだ。Cat2」
「チッ、照準がコンマ4mmズレてやがる」
「残ったMBTは俺がやる」
アラートが鳴りMBTの砲口がこちらを捉える。瞬時にスティーブは機体を森林地に潜り込ませる。爆音が響き機体のそばにHEAT弾が着弾し泥はねを被る。機体を屈ませライフルで反撃する。モニターの中でMBTが炸裂する。
「cat2、ここからAPCを狙撃できるか?」
「あともう少し、チッ、最大望遠でこれかよ。精度は期待しないほうが」
「足止めで十分だ、cat3、生きてるか?」
スティーブンは河原の方に視線を移した。

                  *

 マットは密林の中で川辺に向かっていた。MBTやAPCは基本的に森林地での活動は想定されていない。ということは警戒すべきは歩兵ということになる。いかに地上の主戦力の一つとなりえたモビルスーツといえどもその間接駆動の宿命か、必然的に弱点は関節ということになる。対モビルスーツ戦ではRPGを使用し関節を狙うのがセオリーだ。それに対処するためにもこの[ヘイスト]には全身のいたるところにセンサーを搭載している。唐突にアラートが鳴り警戒を促す。マットはNVD(暗視装置)を作動させ周辺を警戒する。唐突に右モニターに敵影がぼんやりと映り、出し抜けに発砲される。瞬時に機体を振り回避運動をとる。
「一体なんだ!」
マットは機体を屈めつつ敵影の方向に正面モニターを向けるとそこには森林に紛れて人型の機体と怪しく光るモノアイが映った。
「そんな!モビルスーツ?!」
まさかゲリラ部隊がモビルスーツを所持しているとは。しかし驚いている余裕はない。それにここで派手に撃ち合えば村民にも被害が出る可能性がある。
「やれるか?」
自分に問うてみるが答えは出ない。マットはライフルを撃ち返しつつ距離を詰め始める。すると再びアラートが鳴る。
「もう一機!?」
確認する暇もなく機体に衝撃が走る。HUDが背面から攻撃されたことを示した。
「くそっ」
マットはフットペダルを蹴り背面腰部に搭載されたスラスターでその場から離れる。これは小型の推進機で長時間の使用はできないが緊急回避等の瞬間的な移動に多用される。先ほどまでマットが捉えていた敵モビルスーツは河原のポイントに移動を始めた。まずい。「cat3、生きてるか?」
突然の入電、隊長だ。
「MSを二機確認。一機は川に・・」
「お前は川に行った奴をやれ。お前の後ろのヤツは俺がやる」
レーダー上には隊長機を示すアイコンがこちらに向かってきている。
「了解!」
マットは河原に向けて機体を走らせる。

河原に到達しようとした敵の背面を捉えたマットは頭部に搭載された20mmバルカン砲で敵機をこちらに注意を引かせる。敵機は踵を返すなり76mmライフルで応戦する。マットは火線を回避しようとするが数発被弾したのかコクピットが振動する。機体のバランスが崩れそうになりながらもマットはライフルを捨て腰部側面に内蔵されたAMK(対装甲ナイフ)を抜いた。近くに村民がいる以上はライフルの火力は大きすぎる。敵機はライフルが弾切れしたのかリロードしようとしている。今だ!マットはフットペダルを深く踏み込んだ。[ヘイスト]はスラスターで加速しそのAMKの刀身は敵機の胸部に突き刺さった。突き刺さった周りの装甲が赤く加熱し、血しぶきのように火花が散る。二機はまるでラグビーのタックルのような格好で川辺に突っ込んだ。
「はぁはぁ・・・」
荒れる息を抑えつつ周りを見渡す。すると右舷30mの場所に村民の集団の姿があった。無事だった。安堵の気分に包まれそうになった瞬間、敵機がライフルの銃口を村民に向けた。
「よせぇー!!」
マットは絶叫した。防ぐ手段は無い。AMKを抜いたとしてもそこから機体を無力化するにはあまりにも時間が足りない。ライフルの銃口から火線が発射、されなかった。その代わり敵機の銃身には別のAMKが刺さっていた。
「敵の脅威を完全に取り除いてからリラックスしろっ!」
後方モニターを窺うと隊長駆る[ヘイスト]がライフルを構えつつこちらに接近していた。AMKを投擲したようだ。初めて隊長から怒鳴り声を聞いた、それがまた傷になる。
「すみません・・・隊長」
「敵戦力の排除を確認、任務完了だ。帰るぞ」
「了解・・・」
マットは安堵と失意がない交ぜになった溜息をついた。

                   *
作品名:GUNDAM ALTERNATIVE 第1話[OUTSET] 作家名:josh