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春雷

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「よし、決めた!君は、闇祓い局に入れよ!僕が上司に、直接推薦しておくから」
「──はぁ?いったい何言っているんだ、君は?寝ぼけているのか?」
「寝ぼけてなんかいないよ、失礼だな。君はとても闇祓いに適役だから、そう言っているだけだよ」

「バカは休み休み言え。いったいなんで、デスイーター上がりの僕が、闇祓いになれるって言うんだ?」
「君は最高の闇祓いになれるじゃないか。わざわざ探さなくても、向こうのほうから近寄ってきて、声を掛けられるんだろ?まったく、うらやましいよ。もしかしたら、ベラの夫のロドルファスとか、まだ捕まっていない超大物にも、コンタクトを取れるんじゃないのか?」

ハリーは何度も「すごい!すごい!」という言葉を連発している。
「身内を売るようなことは、しないぞ」
ドラコは呆れたように、浮かれている相手に釘を刺す。

しかし、逆にハリーはドラコの顔を覗き込むと、ニヤッと意味ありげな表情で笑った。
「──でもさ、手紙とか鬱陶しいんだろ?デスイーターの中でも、トップの位置に近かった父親の息子だから、あっち側からのアプローチは、これからも増えることはあっても、減ることはないね。絶対に!」

きっぱりと言い切られて、ドラコは口ごもる。
確かに、ハリーの言うとおりだったからだ。

今はまだ学園の中だから、手紙くらいで済んでいるけれども、卒業したあとはどうなるのか、自分でも分からない。
闇に属している相手だからこそ、次にどういう手段で近づいてくるのか、予想が付かないからだ。

ルシウスは今では戦いの後遺症で体調が芳しくなく、もちろん母親を再び危険な目に晒すことは、絶対にしたくなかった。
ドラコは自分自身が家族を守らなければならない立場になったことを、重々承知していた。

だからこそ、ホグワーツに復学した今では、昼夜を惜しんで複雑な呪文を覚え、たくさんの本を読み知識として蓄え、魔法薬の研究に没頭しているのだ。
それがどう役立つのかは、実世界に出てみなければ分からなかったけれども、先に社会に出たハリーがその先のヒントを指し示したことに、ドラコはハッと目を覚まされた気分になる。

「君は闇祓いになるべきだ!君には、適職だよ!そして、君の相棒には、僕がなるよ!」
うんうんとハリーは何度も頷いた。

「……ばっ!バカか、君は!いったい、なんで君とパートナーを組まなきゃならないんだ!」
顔を紅潮させて、慌ててドラコが反論する。

「だって、君がデスイーターをおびき出したら、僕が追いかけて、ふたりで捕獲すればいいじゃないか。それに、大怪我をしても君が治してくれるし、高品質の魔法薬もお手の物だ。僕は大きい魔法が操れるし、追跡は得意中の得意だ。ふたりで組んだら効率がいいし、補佐が君なら、僕たちは闇祓いの中でも、ピカイチの成果を上げることも、夢じゃない!すごいことじゃないか!」
小さな声で、(あのクソ偉そうなマーカス先輩に、ひと泡吹かせることが出来るし──)などと呟き、フフフと黒く笑い、ハリーはご満悦な表情だ。

「待っているからな、マルフォイ!」
ハリーは満面の笑みで、相手の肩に気軽に手を置いた。
ドラコはものすごく嫌そうに顔を歪めると、ハリーの手を掃いのける。

「嫌だね。そんなこと、誰がするか!」
取りつく島がないような邪険な態度だ。

「君は絶対に来るね。──いや、来るべきだ」
顔を近付けて、ドラコの瞳を見詰めて、ハリーは言い募る。

ドラコは相手の真剣なまなざしに、焦ったように頭の中で計算を巡らし始めた。

……確かに、ハリーの言うように、元デスイーターの自分には、どんなに優秀な成績を収めて卒業したとしても、その後の就職先など、ろくなものがないだろう。
しかも、闇の魔法使いの残党からの接触も、無視することができないほど多くなっていくのは目に見えていた。

しかし、自分自身がそれらを捕まえる闇祓いになれば、状況が逆転することになる。
小うるさい残党からの誘いも激減し、それでも声をかけてくる相手には、言葉巧みにうまくおびき出して、取り押さえることも可能だ。
ハリーのように、わざわざ探さなくても、相手のほうから、ノコノコとやって来るのも、手間がかからなくていい。

これ以上の好条件の職場など、どこを探しても見つからないぐらいだ。
(しかし、なんで、コイツとパートナーを組まなきゃ、ならないんだっ!)と、心の中でドラコは苦々しく思う。

作品名:春雷 作家名:sabure