文章修行家さんに40の短文描写お題
11. 本
棚一杯に、それ自体が壁であるかのように隙間なく並んでいるのを眺めながら、思い出すのは一人の少女。部室の端で置物のように佇む無口少女。
12. 夢
携帯電話が震え出す。深夜と言って差し支えない時間。ああ、何か怖い思いをしたのか理不尽な思いをしたのか。どうか彼女に健やかな眠りを。
13. 女と女
集まればかしましいとはよく言ったもので、我が団の団長、マスコット、無口少女は集まるとかしましい。まあ、団長が3人分騒いでるわけだが。
14. 手紙
電子情報の発達した現代において、紙媒体のものは珍しく、ポストに入るのは勧誘物ばかり。なぜか下駄箱には割りと頻繁に入っているのだがな。
15. 信仰
古泉のハルヒに対する従順振りが神に対するものであるかのように思った事もあった。だが恋だとしても納得がいくのだ。…そうでない事を祈る。
16. 遊び
放課後、部室で向かい合い、古泉の持ってきたボードゲームで一勝負。負けが混んでも楽しいのかね。古泉は今日も笑顔でトンチキな手を打つ。
17. 初体験
勝手がわからず、好きにした自覚はある。しょうがないだろ、経験なんかないんだから。勿論お前もだよな?…待て何だその顔。初めて見たぞ。
18. 仕事
言い訳をして先に帰った古泉。その際こちらに向けた意味ありげな視線。分かってるさ畜生め。古泉が早く帰れるよう俺はハルヒに声をかけた。
19. 化粧
笑顔の仮面を貼り付けたお前を見て、その分厚さに辟易する。いつだって素顔を覆っている。皮膚呼吸、できてんのか?たまには落としてみろよ。
20. 怒り
2人の剣呑な雰囲気に警告。止めなければ。これはいつもと違う。振り上げかけた彼の手を掴み、止める。一瞬、彼の強い視線に恐れを感じた。
作品名:文章修行家さんに40の短文描写お題 作家名:由浦ヤコ