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新生勇者戦記 ブレイヴ・サーガ・ディザスター 番外編1

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  光はノリでハジケる余りに、ダグコマンダーを発動させてファイヤー・コウになった。勇士朗もそのノリでファイバードの力を解放。一気に飛び込んで両者が泳いだ。双方共、もの凄い水しぶきを上げて高速泳ぐ。

  もはや競争の域を脱し、20回くらい往復。プールの水が巻き上げられ半分減って閉まった。律が叫びながら二人にストップをかける。

  泳ぎを止め、プールの中で互いに顔を合わせる高校生勇者。「やっちまったい」と後頭部に手をあてた。

  そして一行は、別荘の海が間近にある木製のベランダに向かう。欄干に腰掛けた女子たちに俊がデジカメを向ける。各々にポーズをとる放課後ティータイムメンバー。

  パシャッ、パシャッと数回シャッターを押す俊。その後、紬が三脚を持ってきてメンバー全員の写真を撮った。ここにまた一つ、ひと夏の思い出が刻まれた。




  その日の夜。みんなで持ってきた花火で遊んだ。軽音部メンバーのそれぞれが花火を持って無邪気に遊ぶ。

  梓 「きれいです〜。」

  唯 「そだね〜。そ〜れ〜・・・。」

  円を描くようにクルクルと花火を回すユイアズの二人。澪と紬はしゃがみながら律に花火の火をつけてもらう。律がカチッとチャッカマンを握って着火させた。

  律 「ほい・・・ほい!」

    しゅしゅあああああ・・・

  紬 「わあああ・・・綺麗〜。」

  澪 「そうだな。去年もこうやって花火やったっけ!」

  律 「ああ!ムギが線香花火で「がんばれー」とか言ってたモンなー・・・。」

  紬 「あれからもう一年が経ったのね〜・・・。」

  去年のコトを振り返る彼女達。昨日の事のように思い出す合宿の時間。今年でそれも最後だと思うと澪達三人の心のどこかが寂しい気持ちになった。

  澪 (今年でもう・・・合宿最後か・・・。)

  ちょっぴりとしんみりしたモードが流れる。だが、桜工男子のアホなハジケにかき消された。光が花火セットの手筒花火を両手に持った上に、更なるもう一本を口にくわえて暴れる。

  光 「ははひほほほぉ〜〜(花火男〜)!!!」

  蓮 「うわ!!ばかっっ!!来るな!!!」

  俊 「寄るなバカヤロオオオ!!!」

  勇士朗 「なにやってんだか・・・。」

  この光景を見ていた律が呆れて突っ込む。澪もアホぶりになんとコメントしていいのか言葉が出てこない。紬は楽しげにその光景を見つめる。

  律 「・・・・うわっ、途方もないバカだっっ!!」

  澪 「あ〜・・・・。」

  紬 「うふふふ。楽しそう〜。男の子がいるとこうも賑やかになるものなのね☆」

  澪 「いや、アレ、スゴク危ないからっ!!!」

  光に対抗意識を燃やした蓮が、筒から噴射するタイプの花火をフレイムソードに見立ててかざす。

  蓮 「フレイムソードッ!チャージアーップ!!でやああああ!!」

  アホのようにぶんぶんと花火を揮う。当然周囲に花火が飛散する。容赦なく野郎ドモに火の粉が降りかかる。

  俊 「あぶねー!!やめろ、バカヤロウ!!!」

  光 「あちちちち!!」

  勇士朗 「しょーがねーな〜・・・。」

  ファイバードと一体化している為か、勇士朗には影響はないようだ。同じく炎の勇者となったコウがまた余計なノリでダグオンになった。

  光 「トライダグオン!!!」

  勇士朗 「ああ・・・また無駄に変身しやがった・・・。」

  ファイヤー・コウ 「俺はファイヤー・コウだっ!!炎の勇者だっ!!キヤガレ!!」

  蓮がその気になり、更に引っ張り出した噴射式の花火を点火させ、「戦国BASARA」の伊達政宗のごとく六爪流の構えで斬り(?)掛かる。舌を巻いて発音良く叫ぶ蓮。

    じゅしゅあああああ・・・

  蓮 「さーてぇ・・・パーリィィィの始まりだ!!」

  ファイヤー・コウ 「こいや、こいやあああ!!!」

  揮われた花火がもろに直撃する。だが、炎系のダグテクター故に効いていない。

  ファイヤー・コウ 「あー、いいシャワーだぜ!」

  蓮 「なにぃ〜こしゃくなぁ〜!!!」

  更に単発発射式の花火を持ち出してバズーカ砲を構えるように持った。発射された花火がファイヤー・コウに直撃ヒットする。

  蓮 「ファイヤーッッッ!!!」

    ばしゅうううううううっっ!! ぱああああん!!!

  ファイヤー・コウ 「おおう!??びっくりー!!」

  ※決して真似しないでください・・・

  このデンジャラスな行為に律が白目になってもう一言ツッコム。

  律 「マジで強烈にアホだ・・・・てか止めさせろっっ!!!」


      BGM 「遠い故郷」 太陽の勇者ファイバード サントラVo.2より


  夜中。澪は月夜に照らされる海を別荘のベランダから見ていた。どうやら寝付けなかったようだ。

  澪 (はぁ〜・・・何だか寝付けない・・・。)

  そうしていると後ろから勇士朗があくびをしながら来た。突然の声にビックリする澪。勇士朗はその驚く声に逆に驚かされた。

  勇士朗 「ふあぁ〜・・・。」

  澪 「ひいいい?!!」

  勇士朗 「わ!!そ、そんなにビビらなくても・・・。」

  澪 「あ!勇士朗君だったんだ!ゴメン・・・・私、超がつくほど恐がりだから。」

  勇士朗 「そっか・・・恐がりだなんて知らなかった・・・ははっ、普段はそう見えないんだけどなぁ。」

  人差し指で頬をかじりながら言う勇士朗。澪はそんな仕草で言う彼を見て直ぐに恐怖が治まった。

  澪 「そう?」

  勇士朗 「うん。普段はなんかこう・・・・・凛としてるっていうか、強かっていうか・・・。」

  いずれにしてもイイ印象だ。だが直ぐに澪は謙遜する。

  澪 「そんな・・・そんな事とないよ・・・。」

  しばらく無言が続く。数少ないこういったシチュエーションに、お互い何をしゃべればいいのかわからない。放課後とは違う雰囲気がそうさせていた。夜空の月が織り成す海の月明かりのグラジュエーション。聞こえる波の音。頬にあたる潮風・・・。

  何もかもがロマンチックなムードを作り上げていた。どれだけ海を見つめていたか、勇士朗が月を見ながら口を開いた。

  勇士朗 「月って・・・改めてみるとこんなにも綺麗なんだね・・・。」

  澪 「そ、そうだね!さっきから頭の中で色んな歌詞が浮かんじゃってるんだぁ。」

  勇士朗 「やっぱり、ロマンチックな歌詞?」

  澪 「うん・・・遠い海・・・遠い星・・・あなたの星は何色なの?・・・なんて・・・やっぱり口に出して言うとやっぱり恥ずかしいなぁ!」

  勇士朗 「いや、イイと思うよ。遠い星か・・・・それこそファイバードは遠い星から来たんだよなぁ。」

  勇士朗はてっきりここでファイバードが中から語りかけてくるかと思った。だが、このムードを読んでくれているらしく、一言も言わない。その間に澪が答えた。