魔法少女リリカルなのは THE MACHINES WAR 1
フレイア本拠地に到着した兵士達は、各小隊の詰所で傷の治療をしたり休息を取ったりと、各々の時間を過ごしていた。
そんな中、早足である場所へと向かう一人の男性の姿があった。
服装に土汚れがあり武装を外していないのを見ると、到着して直ぐにその目的の場所に向かっている事が分かる。
男性の名はゴードン。
彼が急いでいる理由はただ一つ――。
先の戦いで負傷した友、アレックスの安否である。
此処に着いてシェルを発見したゴードンは、彼女にアレックスの居場所を聞き出した。
シェルが言うには――
“治療を受けた後、医療部の寝室で眠っている”
――との事。
アレックスをこれほどまで心配する事は、生涯無かった。
以前アレックスが戦場で怪我を負った時は、いつものように軽く見ていた。
だが、今回は冗談では済まされない。
ゴードンは、そう思わずにはいられなかった。
歩き始めて2、3分経った頃、ゴードンは目的の寝室に着いた。
扉には、118と表示されたプレートが中央に貼り付けられている。
呼吸を整える為少し間を置く。
そして一歩前に進み、空気圧の音と共に扉は開いた。
ゴードンが目にした光景は――意外な物だった。
自分では『それ』を望んでいたのだが、いざそうなると何も言えず立ち尽くしてしまう。
当のアレックスはその事を知る筈も無く、ただ平然にベッドの横に立ちダーツをやっていた。
「……ん?…おお、ゴードンか。見舞いに来てくれたのか?悪ぃな」
ダーツをしながらアレックスは言う。投げられたダーツは、5番の内側のシングルに命中した。
「しっかしお前、その格好は見舞いには向かないと思うぜ。病室に武器とか……縁起悪いっての!」
「アレックス……お前……」
「んん?…どしたゴードン?鳩が豆鉄砲食らったような顔して…」
「怪我は…大丈夫なのか?」
「怪我?……ああ、これか…」
腹部に手を当てるアレックス。服を捲り上げた際に見えた包帯が、傷の痛々しさを物語っていた。
「かすり傷だよ。医者も大袈裟にこんなに包帯巻きやがって…」
「そ、そうか…」
「そうだよっ…とぉ」
再びダーツを的に向かって投げる。今度は20番のトリプルに命中した。
「おっ!最高得点!」
安心したのか、隣の空席のベッドに腰を下ろすゴードン。
「とにかく、無事で良かった…」
作品名:魔法少女リリカルなのは THE MACHINES WAR 1 作家名:神威