魔法少女リリカルなのは THE MACHINES WAR 1
「心配性なとこは、ガキの頃から変わってねぇな」
「悪かったな」
「ほらよ」
引出しの上に置かれたダーツを、アレックスはゴードンの眼前に差し出す。
「ゴードンもやらないか?ダーツ?」
「いいのか?お前一度も俺に勝った事無いだろ?」
「今日は勝つっての!」
ダーツを受け取り、アレックスの隣に移動するゴードン。
「どうだか………よっ」
ゴードンが放ったダーツは、吸い込まれるように最高得点である20番のトリプルに命中した。
「げっ!?いきなり!?」
「さて、もう5点差だぞ」
「っーーー!!」
余裕を見せるゴードンの表情に、アレックスは焦りの顔を見せる。
それの影響か、アレックスが放ったダーツは1番の外側のシングルに命中した。
「あっ……」
「いつものパターンだな」
「くーーーーっ!!」
「残り本数は二つ。お前の手持ちのダーツはゼロ。勝負あったな」
二本目は中央のシングルブル、三本目は15番のトリプルと、遠慮無しに得点を稼ぐゴードン。
ゴードンの合計得点は130点。
対してアレックスは66点。
圧倒的な差でゴードンの圧勝である。
「ちぇっ……結局これかよ…」
「残念だったな。二回戦やるか?」
「しねぇよ!!」
「こりゃまた残念」
苛々した表情でダーツの的まで歩き出すアレックス。
その姿を見た刹那、ゴードンの表情が急に険しくなった。
その理由は、アレックスの左腕の位置――銃弾で撃たれた場所を押さえていたからだ。
恐らく我慢していたのだろう、苛々した表情の中に痛みに苦しむもう一つの顔を隠していた。
しかしゴードンは、アレックスに問い質す事はしなかった。
友人の行為を無駄にしたくはない――そう考えたのだろう。
「そう言えばゴードン、俺が退却した後の状況って、どうなったんだ?」
的に刺さったダーツを抜きながらアレックスが言う。
「お前も分かってると思うが、状況はやっと五分五分になった。ま、今回の功労者は『彼女』だったがな…」
「“彼女”?まさか…」
「ああ……T−900だ」
「けっ、またあの機械女か…」
「相変わらず彼女を嫌ってるんだな」
「当たり前だ!あいつはターミネーターだぞ!」
怒鳴りつけるように言ったアレックスに、ゴードンはただ無言で彼を見つめる。
作品名:魔法少女リリカルなのは THE MACHINES WAR 1 作家名:神威