魔法少女リリカルなのは THE MACHINES WAR 1
「ターミネーター……俺の両親と妹を殺した……そんな奴を……味方として受け入れられる訳がねぇんだよ!!」
「だが今は俺達Peaceの一員だ。お前の気持ちも分かるが…」
「………悪い。お前に愚痴ってもどうにかなる問題じゃねぇな」
「構わない。こればかりは他人が口を出す事は出来ないからな。お前自身で、ゆっくりけりをつければいい」
「ああ、そうだな」
ゴードンの言葉を素直に受け取り、アレックスは心を落ち着かせる。
その顔には、既に怒りは消え去っている。
「さてと、俺もう行くわ」
「そうか」
出口へ向かうゴードンの背を、その場で見つめるアレックス。
「隊長には、“怪我した事忘れてるくらい元気でした”って言っといてやるよ」
「へへっ……そうかよ」
空気圧の音と共に、扉が開く。
「それと…」
「………?」
「我慢は…体に良くないぞ…」
「…!?…お、おま…!?」
アレックスの言葉はゴードンに届く事無く、閉ざされた扉によって遮られた。
驚きの余り硬直するアレックス。
自身にとっての『ある事実』を、友であるゴードンに見抜かれた事に不甲斐無く思う反面、自分を心配してくれていたゴードンの気持ちが、素直に嬉しく感じた。
「………見抜かれてた、か…」
不意に巻き起こる激痛。患部に手を当て、背を壁に寄り掛ける。
「……っ…!?……ふぅ…!……俺は、こんなとこでもたもたしてられねぇんだ…!親父にお袋…そして妹……アンリの為に…!」
悲しみ、怒り、焦り――それぞれの感情が交錯する中、アレックスは自分に言い聞かせる。
彼の過去に、一体何があったのか――。
家族を死に至らしめた、ある“事実”。
そう易々とは語れない“記憶”。
負の感情を断ち切れないアレックスは、今はただ、立ち尽くす事しか出来なかった――。
作品名:魔法少女リリカルなのは THE MACHINES WAR 1 作家名:神威