魔法少女リリカルなのは THE MACHINES WAR 1
(実の娘も信用しないか……ほんと、『悪魔』だな…)
「着いたわよ、ゴードン」
前を見てみると、既にジュリアはミーティングルームの入り口前に立っていた。
駆け足でジュリアの隣に移動したゴードンは、視線を扉に向ける。
扉の左側にはセンサーキーが設けられていて、これに承認されなければ入室する事は出来ない。
情報漏洩を防ぐ為ではあるが、根本的な目的はターミネーター対策である。
人である事を証明しなくてはいけない――人類はそこまで追い込まれているのだ。
「じゃ、開けるわよ」
センサーキーに左手をかざし、解除する。
青色に点灯していたライトは、数秒点滅した後解除音と共に黄緑色に変わる。
当然だが、人間と認められたのだ。
そして、空気圧の音を発し扉が開く。
「失礼します。第3小隊所属ジュリア=レイ陸曹長であります。ミーティングの書類をお持ちいたしました」
ジュリアが敬礼をした事でルーム内に上官が居る事に気付いたゴードンは、慌てて敬礼をする。
ルーム内にいたのは一人の女性。
女性は振り向かず、グレー色のノートパソコンを操作し続けている。
「うん。ありがとうジュリア。そこに置いといて」
作業中の為、左手の人差し指でロングデスクを指す。
「あれ?リアさん?」
「……ん?その声は……ゴードン?」
「はい、第5小隊所属ゴードン=フィリップス陸曹長であります。途中でジュリアと鉢合わせになりまして、一緒に書類をお持ちした次第です」
「そ。ご苦労様」
未だノートパソコンに顔を向け続けるリア。カタカタと休み無く立てるキーボードの操作音が、ルーム内に響き渡る。
「忙しそうっすね…」
「そう?いつもの事よ」
「コーヒー…入れましょうか?」
「結構よ」
「そ…そうっすか…」
ゴードンの掛け声も虚しく、会話は長続きせずに終わった。
再び響くキーボードの操作音。
リアが放つオーラにたじたじなゴードンに対して、ジュリアはロングデスクに置いた書類をジッと見つめていた。
「リア三尉…」
一枚の書類を手に取り、ジュリアは上官の名を口にする。
「何、ジュリア?」
「今回のミーティング……意味があるのでしょうか?」
「どう言う事?」
「機械装置が特別な物だと言う事は存じています。ですがそれは我々ではなく学者が調べる事。私達軍人には暇が無いのです。それとも何か別の……」
作品名:魔法少女リリカルなのは THE MACHINES WAR 1 作家名:神威