魔法少女リリカルなのは THE MACHINES WAR 1
「………」
「焦る必要は無い。ゆっくりと……自分のペースで歩んでいけばいい…」
「……うん……ありがとう、ゴードン。優しいんだね」
「ばっ…馬鹿!!当たり前の事だろう…!!」
ゴードンを見つめるジュリアのその優しい表情は、彼の顔を紅潮且つ心を惑わす効果を生じた。
「ほ、ほら!早く詰所に戻るぞ!みんなが待ってるからな!」
紅潮したまま、ゴードンは廊下を歩き出す。
「ふふ……そうだね…」
グリーン色の長髪を揺らし、ゴードンの後を歩く。
朝の日差しに照らされるジュリアの髪。いや――姿。
その光は、新たな道を見つけた彼女を祝福しているようだった。
「焦らず、ゆっくり……か」
「ん?」
「ただの独り言。早く行こ」
廊下に木霊する二人の足音。
徐々に遠ざかり、足音は聞こえなくなった。
静寂を取り戻した一筋の廊下は、今はただ、日差しを浴びて光り輝いていた。
第5小隊詰所。
デスクの上にライフル銃を置き、それを分解、手入れをしている一人の男。
隊長を務めるレイル=フォスターの日課となったこの作業は、戦いの後の憩いの時間でもある。
この日課を欠かさなかったからこそ、今まで生を繋ぎ一等陸尉の階級を得る事が出来た。
だが、手入れをする箇所が日に日に増えてきているのが現状である。
「そろそろ限界か…?相棒…?」
一部組み上がったライフル銃を見つめながら、レイルは呟く。
「隊長」
後ろから彼を呼ぶ女性の声。
「ミレーユか…」
そこには、レイルの補佐官であるミレーユ=ミラン准陸尉の姿があった。
「そろそろ…」
「時間か……分かった。ちょっと待っててくれ」
組みかけのライフル銃を手に持ち、残りのパーツを素早く取り付けていく。
たった数秒で組み上がったライフル銃を見て、ミレーユは驚嘆の顔を浮かべる。
「いつ見ても、素晴らしい手付きです」
「ありがとう。けど、こんな特技持ってても戦場では役に立たないがな」
「そんな事はありません。如何なる時も迅速な行動は必要です。誇りに思ってください」
「そうか…。お前が言うならそうなんだろうな」
スッと立ち上がったレイルは、そのライフル銃を壁に掛け、『ある』方に向け歩き出す。
ミレーユもまた、彼に追従して着いていく。
作品名:魔法少女リリカルなのは THE MACHINES WAR 1 作家名:神威