魔法少女リリカルなのは THE MACHINES WAR 1
「皆さんに事前に配付したこの書類ですが、これは題目通り、古代暦についてまとめられた物です。既に皆さんは承知だとは存じますが、この書類は、情報を隠蔽して作成しています」
「堂々と言う事かよ」
「言います。何せ自分が作成しましたから」
動じずに平然と答えたリアを、ガリエルはつまらない物を見るかのような目で見つめ返す。
リアが口にした“情報隠蔽”という言葉――。
殆どの隊長はその事実を察していたようで、さほど驚いた様子ではない。
対して補佐官――数人ではあったが驚愕の表情を見せ、どよめきを起こしていた。
「ヒビキ一佐、なぜこのような回りくどい事をなさったのです?今回の議題である機械装置は、それほど重要な代物なのでしょうか?」
クレイヴの言葉で周りのざわつきは収まり、室内は静けさを取り戻す。
「まあ慌てるな、アーチェス隊長。全てはこの書類が……教えてくれる」
右手に持った数枚の書類を、ヒビキは左手で軽く叩き注目させる。
「リア、頼む」
「了解しました」
リアの右手には、小型リモコンが握られていた。
それをデスクに向けボタンを押した途端、各隊長の前部に位置するデスクから、モニターらしき物が現れた。
「その上に、配付した書類を載せて下さい」
リアの指示の後、各補佐官は書類をモニターの上に置いた。書類は、稼働したホルダーによって留められている。
デスクに備え付けてあるキーボードをリアが操作すると、モニターから青い光が発せられ、文字やらグラフやらが表示された空間モニターが浮かび上がった。
「この光……『ラジム鉱石』か…?」
「極秘裏に開発された用紙……これだったか」
クレイヴが言い、続けてレディナが言った。
「うむ。その用紙は、ラジム鉱石から発せられる光だけに反応するよう組み替えてある。これにより、ハッキング等の被害を防げる。君らに口外した事の意味……理解出来るな?」
つまり、他言無用という事である。
その影響か、ルーム内は更に張り詰めた雰囲気となる。
「用紙にデータを入力し、鉱石の光で投影させる………スカイネットには無い技術だ」
「人間の発想力も、捨てたものじゃないでしょ?」
空間モニターを見つめるT−900に、ミレーユは小声で話しかけた。
だが、咳払いをしたヒビキによって姿勢を正される。
作品名:魔法少女リリカルなのは THE MACHINES WAR 1 作家名:神威