魔法少女リリカルなのは THE MACHINES WAR 1
「恐らく、な。分析班に調べさせたんだが、動力源と判明した事以外何も分かっていないそうだ」
「隊長、一応“彼女”にも……」
「うむ、そうだな。T−900、君の脳内のデータにこの動力の事があるか調べてもらいたいんだが……いいかな?」
耳打ちするリアの助言を受け、ヒビキはT−900に有無を問う。
「………」
対して彼女は何も答えず、主人であるレイルを見つめ彼の言葉を待つ。
「俺の許可は必要ない。自分の判断で行動しろ」
「……了解しました」
レイルの前部にある投影モニターに近づき、T−900は右手の人差し指を前に突き出す。
すると、指の先端が変形を始めピンジャック型の接続端子に変わった。
そのピンジャックを投影モニターの接続部に挿入し、T−900は目を瞑る。
「検索、開始」
発声と同時に彼女の脳内は膨大なデータに埋め尽くされる。
その中から『未知の動力源』に該当するデータを探し出す。
徐々に除外されていく数多のデータ。
そして――。
「検索、完了………該当データ………無し」
瞳を開いた彼女の視界には、『NO DATA』と表示されていた。
「そうか……。少しは期待していたんだがな…」
落胆の言葉を漏らすヒビキを尻目に、T−900はピンジャックを抜き指を元の形へ戻す。
「私のデータには無いが、スカイネットが私に送信していないだけかもしれない」
「“スカイネットは知っている可能性がある”……と言う事か…」
T−900の一言を、ヒビキは別の視点で考える。
周辺の者も、同じ事が頭をよぎったに違いない。
「ヒビキ一佐、スカイネットに知られない為にも、何か暗号で呼び合った方が良いのでは?」
「ふむ……。その事に関してなのだが上層部でも話が上がっていた。フォスター隊長が言ったよう、暗号も決まったそうだ」
「では……その暗号とは……!?」
クレイヴが問うと、ヒビキはその重い口を開き――答えた。
「………『魔法』…だ…」
「なっ……!?」
「……ま…!?」
「…『魔法』……!?」
『魔法』という単語を聞いて、一同は言葉を詰まらせる。
お伽話やファンタジー小説などに出てくる架空の“それ”を『未知の動力源』の暗号にしたのだから、周囲の反応は正しいのか――そうでないのか――。
現時点では、特定出来ない。
作品名:魔法少女リリカルなのは THE MACHINES WAR 1 作家名:神威