魔法少女リリカルなのは THE MACHINES WAR 1
「それでは以上でミーティングを終了し……」
「待て」
リアが空中モニターを消そうとした矢先、ヒビキがそれを遮りミーティングを続行させる。
「まだ話は終わっていない」
「えっ…?…ですが、報告する内容は全て伝えた筈…?」
「此処からは、一等陸佐の権限で進ませてもらう」
「………!?」
リアの予想していた事が現実に起こった。
3日前、ヒビキからミーティングの書類作成を命じられた時、リアもまたジュリアと同じ事を考えていた。
“軍人のする事じゃないだろ”――と疑問が募るばかりだったが、自分の隊長の命ならば致し方ないと、黙って作業に取りかかった。
だが、翌日のヒビキの一言によって、疑問は更に膨らんでいった。
“明日のミーティング、T−900にも参加させる。そうフォスター隊長に伝えておけ”
スカイネットと戦闘中であるにも関わらず、リアの脳内はその意味を考える事でいっぱいだった。
議題の内容からして、恐らくは彼女にデータを調べさせる為だとは推測出来る。
しかし、それだけで終わりなのだろうか。
スカイネットに最も近い存在である彼女を、そのような粗末な扱いで使って良いのだろうか。
“私には分からない。けど、ヒビキ隊長が彼女を呼んだのには、必ず意味がある”
そう疑念を抱きつつ今までミーティングを続けていた。
だが、先刻のヒビキの言葉により疑念は確信へと変わる。
最後まで待ったという事は、話の境目として丁度良いと考えたからだろう。
リアはヒビキが口にする“本当の真実”を静かに聞く事にした。
「まずは移転装置についてだ。この装置、作戦として使用する事が決定した。魔法が存在しうるだろう世界へ飛び、その軍事力をこの世界で利用する」
「……なっ…!?本気ですか一佐!?“魔法世界”という夢物語を信じてその装置に賭けるというのですか!?」
「……そうだ…」
クレイヴの反論に、ヒビキはただ無表情で答えた。
周囲も彼と同じく驚きを隠せなかった。
だがその中で、 何かを悟ったような表情を見せる人物がいた。
その人物は、視線を一つに定めこう言い放った。
「なーるほど、大体読めたぜ。何故“てめぇ”がミーティングに呼ばれたのか……その理由もな」
その声の主はガリエル。そして、周囲の視線は一つに絞られた。
ターミネーター――T−900に集中していた。
作品名:魔法少女リリカルなのは THE MACHINES WAR 1 作家名:神威