魔法少女リリカルなのは THE MACHINES WAR 1
何事も無かったかのように立ち上がる者。
破損の影響で不自然な動きをする者。
“その程度か?”
その光景は、言語を持たない機械達からの挑発のようにも見えた。
「相変わらず固ぇな…」
思わず呟いてしまった一言――。そうでもしなければ気を紛らわす事が出来なかったのだろう。
「だったら…!」
右肩に掛けていたバズーカ砲に持ち替え、左肩に載せ、射出口をT−790の集団に向ける。
「これで終わりだぜ!!」
後に起きる敵の壊滅に愉悦を感じながら、バズーカ砲のトリガーに指を近づけるアレックス。
その刹那――。
自身の腹部に何かの衝撃が来た。
何が起こったのか見当がつかないアレックスだったが、全身に伝わる激痛によって事の真実を知る。
「な……んだ…と…!?」
そう、銃弾が彼に直撃したのだ。
その時、アレックスの目には原因ともいえるあるものが映っていた。
それは、半壊したターミネーター。
アレックス自身が倒した上半身のみのT−790の姿だった。
その手には、マシンガンが握られている。
「へへ………しぶとい……ヤローだ…」
痛みに耐えきれず片膝を地に付け、バズーカ砲を落とすアレックス。
迫り来るマシーンの群れ。
痛みに苦しむアレックスのその姿は、マシーンにとっては格好の標的となっていた。
「やべぇな……こりゃ…」
数多の銃口がアレックスに向けられる。
そして――無数の乾いた音が炸裂し、アレックスは――。
「無事か?…アレックス?」
「……えっ…?」
再び乾いた音がアレックスの耳に入る。
だが、それは自身に向けられたものではなかった。
証拠に、先程までいたマシーンの群れが嘘のように存在していない。
アレックスはやっと、自分が誰かに助けられた事に気付いた。
そして、その人物も――。
「た、隊長……」
「慢心する癖は、直した方がいいな」
「……すいません…」
「気にするな。シェル、アレックスを頼むぞ」
「はっ」
ブラウン色のショートヘアの女性シェルが隊長に敬礼をし、アレックスに肩を貸す。
「アレックス…!!」
声の主はゴードン。緊迫した表情で詰め寄る。
「ドジ……踏んじまった…」
「アレックス陸曹長は自分が…!」
「………」
後退していく二人を、ゴードンはただ無言で見つめる事しか出来なかった。
作品名:魔法少女リリカルなのは THE MACHINES WAR 1 作家名:神威