魔法少女リリカルなのは THE MACHINES WAR 1
「大丈夫だゴードン。あいつはあれくらいでくたばるような男じゃない。それはお前が一番知ってる筈だ」
「はい…」
「前進するぞ。アレックスの分もな」
「………了解!!」
隊長を先頭に、進軍を再開する。
迷彩服に身を包む、銀色の短髪をなびかせる隊長の後ろ姿――。
自分より僅か3歳年上なのに、その背中は壁のように大きく見える。
ゴードンは、レイル=フォスターという名の男の器の大きさを改めて実感した。
「こちら第5小隊隊長レイル=フォスターだ。状況報告を頼む」
通信機を通して相手に喋りかける。
《フレイア本拠地、了解。………現在我が軍の所有エリアは、第1、第2、第3エリアの計3つ。第4、第5エリアは敵軍により陥落。他部隊は第2エリアまで後退。第3エリアに現存する部隊は、クレイヴ=アーチェス一尉を隊長とする第8小隊と第5小隊のみです》
聞こえてきたのは女性の声。途切れ無く報告する彼女の言葉を、レイルは沈黙して聞く。
「分かった。新しい情報が入り次第随時報告してくれ」
《了解しました》
最後にノイズ音が鳴り、通信は途絶えた。
「ゴードン、お前の意見を聞こう」
「はい。アーチェス隊長の隊と合流すべきかと…」
「ふむ…的確な判断だ。だが…」
「何か?」
「敵の目的は俺達人間を抹殺する事だ。集団で密集すると逆に危険になる。ここは第8小隊と連携しつつ前進するのがいいだろう」
「なるほど…流石は隊長」
「褒めても何も出んぞ」
走りながら会話する二人に、再び通信機から報告が入る。
《フレイア本拠地から緊急報告。第3エリア内で戦闘中の第8小隊から第5小隊へ救援要請。現在、ステルス型ターミネーター、T−F800の空爆により被害拡大中》
「隊長…!!」
「大丈夫だ。リア、『あいつ』は今何処にいる?」
レイルが言った“あいつ”の意味にリアは一瞬言葉を詰まらせるが、レイルにとっての“あいつ”は一人しかいないと理解し、すぐさま居場所を調査する。
《お待ち下さい………………出ました!座標ナンバー043718……こ、ここは…!?》
「どうした?」
《この座標ナンバー……第4エリア……敵の制圧圏です!》
慌てふためいている光景が声質から想像出来るくらい、リアは驚愕していた。
だが、それに反してレイルの口元はつり上がる。
作品名:魔法少女リリカルなのは THE MACHINES WAR 1 作家名:神威