魔法少女リリカルなのは THE MACHINES WAR 1
《………フォスター隊長?》
「心配しなくてもいい。いつもの事だ」
《……では、通信はこちらから…》
「いや、俺からしよう。あいつは無愛想だからな」
《了解しました。第8小隊には私が報告します。了解…でよろしいでしょうか?》
「ああ」
《では、ご武運を…》
通信が途絶えた後、レイルは足を止め通信機に手を当てる。
人差し指で通信チャンネルを合わせる。ボタン式なので押す事で繋げられる。
“あいつ”の通信チャンネルは14番。
カウントアップしていく通信機に付けられた表示モニター。
そして――モニターに14の数字が表示される。
「こちら第5小隊隊長、レイル=フォスターだ。聞こえているなら返事をしろ」
第4エリア内部。
マシーンの稼働音が所狭しと鳴り響く。
そこには生きた人間はいない。
代わりに、人の骸と死臭が漂う光景――地獄絵図が残るだけであった。
戦車型ターミネーター、T−G800のキャタピラが、容赦なくその骸を踏み潰す。
大砲の根本部には、目玉のようにキョロキョロと動く赤外線が放射され、敵である人間を探し出している。
その時、ガンッ――という金属同士のぶつかる音が響く。
いや、正しく言えば『何か』が『何か』にはまったような音だろう。
刹那、行動していたT−G800の大砲部が大爆発を起こす。
そして、連鎖するように下部を巻き込みマシーンは大破した。
爆発の原因は、奇妙な音の発生源――。
後者の『何か』は――マシーンの大砲部。
前者は――バズーカ砲のロケット弾。
即ち、それを撃ち、更にロケット弾を筒の中に狙った人物が存在するという事になる。
炎がマシーンの残骸を燃やす中、『それ』はいた。
『それ』と表現した訳は、単純に『人』ではないから。
マシーンによって放出された毒ガスが充満する此処では、人は生命を維持する事は不可能だ。
ガスマスクを装着していれば別だが、『それ』は装着していない。
この事を踏まえると、『それ』はやはり『人』ではない事が分かる。
外見は人でいう20代前半の女性で、金髪の長い髪をポニーテールに纏めた容姿をしている。
レイルに似た迷彩服を身に包んだその姿は、正に軍人。
美貌で無機質なその表情は、完全に人と相違ない。
だが、『人』ではないのだ。
作品名:魔法少女リリカルなのは THE MACHINES WAR 1 作家名:神威