魔法少女リリカルなのは THE MACHINES WAR 2
赤い魔法陣も消え、ティアナを包む赤い膜も消えた。
「ありがとうございます。皆さんの助けがあってこその成功です」
「謙遜しないの。これは全て、貴女の指揮による物。誇りに思いなさい」
「グレースさん……」
グレースの笑顔――。
フェイトに匹敵する優しい表情に、ティアナは一時癒しに包まれる。
しかし、それは瞬く間に終わりを迎える。
外を支配する程の爆発音。
歓喜に溢れる周囲は、刹那に絶望の色に塗り変わる。
内部で発生したと知り、ティアナとグレースは工場を見つめる。
「フェイトさん……」
「あ、死んだ……」
内部ではフェイトとクラウスの戦闘が続いていた。
空中に佇むクラウスは、ダミーとの連結が途絶えた事を知り、呟いた。
「もぅ、フェイト君が邪魔するからダミーがやられちゃったじゃん!」
「ハァ…ハァ…ハァ…。残念だったな…これでゲームは出来ない」
「うーーん……でも、フェイト君と遊んでるからいいや」
高速でフェイトに迫る。
フェイトはそれを受け止め、鍔迫り合いへ持ち込む。
「くっ……!!」
「あれーー、フェイト君もしかして疲れてきた?でもその表情も可愛いね!」
「黙れ!!」
無限に続く連続斬りをクラウスに浴びせる。しかし、クラウスはその全てをデバイスで受け止め乾いた音が木霊する。
「フェイト君、魔導師なのに長柄系で接近戦に得意なんて……珍しいよね」
「………」
攻防は更に続く。
「そう言えば僕も同じ境遇だ。僕達似た者同士だね」
「違う!!」
左から一気に薙ぎ払い、クラウスから距離を取る。
「お前は犯罪者!!同じ括りにされると不愉快だ!!」
「もぅ、怒ってばっかりだなぁ。綺麗な顔が台無しだよ」
クラウスの左手に環状の魔法陣が現れ、左腕を前に突き出す。
「ダークネスフレア!」
フェイトを追尾するように大爆発が起きる。
「プラズマランサー!!」
直線状の魔力スフィアが環状魔法陣を纏い、数え切れない程の数で現れる。
「ファイヤーー!!」
掛け声と共にクラウス目掛けて放つ。
「ははっ……!!」
「……!?」
しかし、クラウスは意外な行動に出た。
シールドも何も防御しないまま、彼女に突撃してきたのだ。
「何っ……!?」
その隙を突かれたのか、クラウスはデバイスの戟の柄の先端でフェイトの鳩尾を強く突いた。
作品名:魔法少女リリカルなのは THE MACHINES WAR 2 作家名:神威