魔法少女リリカルなのは THE MACHINES WAR 2
「対応してきた!?衝撃波付加はもう無駄ね…。だったらっ…!!」
クラウスに向かって走り出す。
魔力スフィアを全弾止めたクラウスは、彼女の動きをしっかり目で追っていた。
「間合いを詰めて決める!!」
デバイス同士が交錯する。
煙が立ち籠め、二人の姿を隠す。
フェイトに治癒魔法を掛け続けるグレースは、双方の戦いに目を奪われていた。
「ティアナちゃん…」
やがて煙は晴れ、工場内がはっきりと映し出される。
中央では、ティアナは両腕で、クラウスはデバイスの柄で鍔迫り合いをしていた。
「決めるって…何を?何も変わらないけど?」
「勝敗は決した…」
「え……?」
刹那、クラウスの頭の後ろに銃口が突き付けられる。
それは白の拳銃――クロスミラージュだった。
「フェイクシルエット…」
もう一人のティアナが後ろでそう呟いた。
クラウスの前にいるティアナは、霧のように消滅した。
「幻術か…。マイナーな魔法を使うんだね?」
「デバイスから手を放して」
「はいはい…」
デバイスを放し、両手を上げる。
「貴方を逮捕します」
「ねぇ?一個だけ言わせて」
「……?」
「僕に近づくとフェイト君の“二の舞”になるよ」
クラウスの両手の掌から大気の渦が現れ、それは後ろにいるティアナに向けられていた。
「なっ……何をっ…!?」
「!?……ティアナちゃん!?」
グレースが危機を感じティアナに向かって走り出す。
時がゆっくりと流れる。
「ド……」
グレースがティアナの近くまで迫る。
「…レ……」
「ティアナちゃん!?」
「きゃっ…!?」
ティアナの上にグレースが伸し掛かり床に倒れる。
「……イン!!」
ドレインが発動し、庇ったグレースに魔法が掛けられた。
「きゃあぁぁぁァァァァァ…ッ…!!」
「!?……グレースさん!?」
「アァァァァァ…ッ…!!」
グレースの背中から、球体状の渦が浮かび上がる。そしてそれは更に肥大していく。
「んっ?この魔力はオレンジの子のじゃない?」
発動を止め、クラウスは後ろを振り向く。
彼の目には、ティアナに伸し掛かった青の管理局の制服を着たグレースの姿が映っていた。
「誰この人?」
球体状の渦はやがてクラウスの右手に移動し、渦が消滅して赤のスフィアが顔を出した。
「グレースさん、グレースさん!?返事をして下さい!?」
作品名:魔法少女リリカルなのは THE MACHINES WAR 2 作家名:神威