魔法少女リリカルなのは THE MACHINES WAR 2
グレースは完全に気絶していて、ティアナの声は届いていない。
「馬鹿だなー。無意味な事してー。グレース……だったっけ?そう言えば君の名前…?」
「ぐっ……!!」
「そのグレースって奴がほざいてたね。確か……ティアナ…だったよね?」
「貴様……!!」
「そいつに庇ってもらってちゃ、君もまだまだだ」
右手に浮遊する魔力スフィアを見つめる。
(この魔力…何処かで…?ま、どうでもいいか…)
灰色に変化した魔力スフィアを胸に押し込み、吸収する。
「ま、魔力を…!?」
「説明はフェイト君に聞いてよ。教えるのめんどくさいし…」
デバイスを拾いその場に立ち尽くす。
「なんか興が逸れちゃった。今日はもう帰ろう」
「逃がさない!!」
魔力弾をクラウス目掛けて撃つ。しかし、彼の体は霧のようになり魔力弾を透き通る。
「なっ…!?」
「無駄だって」
その時、ティアナの脳裏にクラウスの言葉が蘇る。
“君に出来て僕が出来ない訳がない”
「幻術…!!くそっ…!!」
「理解が早いね?じゃね!」
クラウスはフェイトに、笑顔を贈る。
「じぁあね、フェイト君…。また遊ぼうよ…」
「ま………ま…て…」
彼の体は霧散し高く舞い上がり消えていった。
静寂が続く。
そこに、現場局員、バスターの隊員達が一斉に工場内に入って来た。
「イェーガーがいない!?逃げたか!?」
「!?……フェイト執務官、グレース三尉!?」
言葉が飛ぶ中、それぞれに駆け寄り介抱する。
「グレースさん、グレースさん!?」
自分の掛け声に答えないグレースを見て、ティアナは目頭を熱くさせる。
意識が朦朧とする中、フェイトはその光景を見つめる。
「…ティ……ア…ナ………グ……レ……ス………」
力の限り左腕を上げ彼女達を呼ぶが、到底届く事は出来ない。
そしてフェイトの意識は――。
完全に――。
途絶えた――。
作品名:魔法少女リリカルなのは THE MACHINES WAR 2 作家名:神威