魔法少女リリカルなのは THE MACHINES WAR 2
そのベッドで横になっている患者――グレース=レイヴンは既に目を覚ましていて、見舞いに来た後輩のティアナ=ランスターと父であるハリー=レイヴンと話をしていた。
ハリーは彼女から見て右、ティアナは左に腰掛けていた。
「ごめんねティアナちゃん、毎日お見舞いに来てもらって…」
「いえ……。元はと言えば、私の責任ですし…」
俯き元気の無いティアナの表情を見て、グレースは不機嫌な顔を見せる。
「こらっ!そんな顔しないの!貴女の“教導官”に言いつけるわよ!」
「グレースさん…」
「ほらまた…。改善の余地がありそうね」
「は…はは…」
作り笑いを見せるティアナに、グレースは溜息を吐く。
「ランスター君、本当に気にしなくて良い。こいつは無茶する事が多くてな」
「パパ……もうちょっと言い方ってのがあるでしょう?」
「本当の事だ」
小さい親子喧嘩が勃発する中、病室にノック音が木霊する。
「どうぞ」
ティアナが返事すると、扉はスライドして開く。
白の教導官の制服を着た――高町なのはが入室してきた。
「なのはさん!?」
「ティアナ、久しぶり。六課解散以来だね。あっ…!」
なのはは、青の将の管理局の制服を着た白髪混じりの黒の短髪の中年男性――ハリー=レイヴンを見て敬礼をする。
「ハリー中将、地上本部総司令官就任、おめでとうございます」
「高町君か。ありがとう。しかし、只の役職だ。そう改まる必要は無い」
「いいえ、とても名誉な事と存じます」
「全く、君には適わないな…。掛けたまえ」
お礼の言葉を言い、なのはは“失礼します”と足して、ティアナの隣に座った。
「お久しぶりです、なのはさん」
「うん。そう言えばティアナ、髪下ろしたんだ。可愛いね」
「そ、そうですか…?」
「何照れてるのよ?」
「て、照れてません!!」
髪の毛をイジりながら紅潮するティアナに、周りの顔は綻ぶ。
「グレースちゃん、具合はどう?」
「大丈夫です。食事もちゃんと食べてますし、良好です」
「他人行儀使ってるー!こんな時は、何時も通りで良いんだよー!」
「だけど、パパがいるし…」
「私は一人の人間……只の父親だ。私はそんな小さい事に腹を立てない」
刹那の思考。
グレースは渋々、なのはとハリーの意見に乗る事にした。
作品名:魔法少女リリカルなのは THE MACHINES WAR 2 作家名:神威