魔法少女リリカルなのは THE MACHINES WAR 2
「それじゃあ………なのはちゃん、私は大丈夫よ。心配してくれてありがとう」
「うん!!」
「なのはさんとグレースさんは、知り合って長いんですか?」
「うん。士官学校からの知り合いなんだ。積極的に話し掛けてくれて、それ以来仲良くなっちゃって…。フェイトちゃんやはやてちゃんとも仲が良いんだよ」
「!?……なのはちゃん、執務官…いや、フェイトちゃんは…!?」
切迫した表情でグレースはなのはに問う。
「目を覚ましたよ。て言うか、嬉しくて泣いちゃった。にゃはは…」
「そう…。良かった…」
目を瞑りホッとした顔を見せる。
「しかし、あのテスタロッサ君を負かすほどの力……クラウス=イェーガー……奴は次元犯罪者として、指名手配をしておく必要があるな」
「はい。賢明な判断かと…」
「ランスター君、対峙した時……君は奴をどう感じた?」
ティアナ以外の視線は、彼女に向けられる。
当時の状況を思い出したようで、少し俯いているが何とか言葉を振り絞った。
「…格が違いすぎました。全てにおいて私を上回っていましたし、太刀打ち出来ませんでした。私は、奴を甘く見ていました。一度の勝機に酔って油断して、そして……」
「“グレースさんに迷惑かけた”なんて言ったら、ぶっ飛ばすわよ!」
「……だって……だって……」
俯き涙を零すティアナを見て、グレースは溜息を吐きなのはを見据える。
「なのはちゃん、貴女の教え子は泣き虫ね…」
「にゃはは…こればかりはちょっと…」
「はぁ…しょうがないわね…。ティアナちゃん、いらっしゃい?」
左腕をティアナに伸ばし、自身に近づくよう促す。
ティアナは疑問に思いつつ、瞳に涙を溜めたままグレースに詰め寄る。
するとグレースはティアナの頭を掴み、彼女の右耳を自身の胸元に押し付けた。
「グ、グレースさん!?」
「聞こえるでしょ?この音……」
ティアナの耳元を伝い聞こえる一つの音――。
生命(いのち)の鼓動――。
とくんとくん、と奏でるグレースの心臓は、何処か優しさを感じる。
作品名:魔法少女リリカルなのは THE MACHINES WAR 2 作家名:神威