魔法少女リリカルなのは THE MACHINES WAR 2
「私は……生きてる。私の心臓は簡単には止まらないわ。家族、なのはちゃん、フェイトちゃん、はやてちゃん、航行隊の仲間、私、そして……貴女。みんなが繋がり、それぞれの生がある。誰一人とて、欠ける事は許されない。だから私は、自分の意思で貴女を助けた。
ティアナちゃん、貴女が責任を負う事は必要無いの。貴女が悲しいと、私まで悲しくなるわ。だから泣かないで……ね?」
ティアナの頭を優しく撫でる。
「うっ、うぅっ、うわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ…!!」
グレースに抱きつき、ティアナは号泣する。
自身の心を慰めるように、それにぶつけるように、ティアナは泣き続ける。
布団を濡らす彼女の頭を、グレースは泣き止むまで撫でた。
「って、逆効果だったわね。泣かせちゃった」
「ぐすっ……ひくっ…」
「すまない、ランスター君。嫌な事を思い出させてしまった…」
「いや、ハリー中将、彼女にとっても良い経験になったと思います。自分の戦術が全く通用しない相手が存在する…。執務官になる為には知っておく必要があります」
ティアナを見据えて、なのははそう語った。
(さすがは『エースオブエース』の称号を持つ子だ。教え子だからだろうか……彼女の言葉には説得力がある…)
感嘆の目で見つめるハリーは、『高町なのは』という人間の偉大さを改めて実感した。
「ほら、ティアナちゃん、いい加減泣き止みなさい。みっともないわよ」
「ぐすっ……はい…。申し訳…ありませんでした…」
自分を上目遣いで見据える後輩の姿。
その姿が、一人の少女とダブって見えた。
幼い顔を此方に向け、ボーイッシュな黒髪にサファイアの澄んだ青の瞳。
彼女と同じく瞳に涙を溜めている表情に、グレースは懐かしく思う反面、憎悪にも似た感情が沸き上がる。
(………!)
感情を抑える為、左手の拳を力強く握る。
「グレースちゃん?」
「……えっ!?」
「どうしたの?」
「な、何でもないよ。さぁ、ティアナちゃん、元気出して」
「は、はい」
グレースから離れ、ティアナは涙を右手で拭う。
「そう言えばなのはちゃん、この後予定とかあるの?」
「仕事は早退したから、後は家に帰るだけかな…」
「そう。ヴィヴィオちゃんによろしく言っといて?」
「うん、分かった」
「パパ、ママに大丈夫ってちゃんと言ってよね?」
「毎日欠かさず言っている。心配するな」
作品名:魔法少女リリカルなのは THE MACHINES WAR 2 作家名:神威