魔法少女リリカルなのは THE MACHINES WAR 2
不意に、ノック音が病室に響く。
グレースが返事をすると、扉が開いた。
そこには、白衣を着たシャマルがいた。
「グレースさん、お熱を計りに来ました」
「どうぞ、入って下さい」
シャマルが入室すると同時に、ハリーは立ち上がった。
「では私は失礼するとしよう。切りが良い事だし、何より女性だけの方が話が盛り上がるしな」
「えーっ、パパ、もう行っちゃうのー!?」
「子供みたいな事を言うな。私も仕事がある。これでも割いて来ているんだ」
「ん!!」
グレースは右頬をハリーに突き出し、何かを待っているようで動かない。
「お前……此処でやるのか!?」
「んん!!」
その光景を見て、ティアナとシャマルはぽかんとした表情に対し、なのはは和やかな表情をしていた。
ハリーは頬を紅潮させ頭を掻いた後、渋々その行動をした。
グレースの頬にハリーの唇が重なる。
“チュッ”と音を鳴らし、ハリーはそそくさと背を向けた。
「人前でするのは、やっぱり恥ずかしいな」
後ろ姿でも紅潮した頬は隠しきれていなかった。
嬉しかったのか、グレースは右頬に右手を当ててにっこりと笑っていた。
「失礼する…!」
恥ずかしさに耐えかね、ハリーは早足で扉に向かう。
「パパ……」
グレースに呼ばれ、ハリーは背を向けたまま立ち止まる。
「……ありがとう」
「…養生していろ。明日は母さんが来るからな」
振り向かずに歩き、ハリーは病室を後にした。
「グレースちゃんは相変わらず甘えん坊だね」
ティアナとシャマルが疑問に思っていた事を、なのははさらっと言い放った。
「そうかな?普通よね?」
ティアナに顔を向けるグレースだったが、当の彼女は首を横に振った。
「グレースさんの家族は特殊です…」
「えーっ!?」
「と、とにかく、お熱を計りましょう!」
慌ててシャマルはグレースの右側に向かった。
「はい、体温計。自分で出来ます?」
「大丈夫です。それと、敬語使わなくても良いですよ。パパはもういないですし…」
「ホント?……じゃ遠慮無く…体温は夜も計るから、その時はなるべく起きててね」
「はい」
体温計を受け取り、グレースは左脇に体温計を当て、右腕で左腕を押さえた。
「なのはちゃんの世界ではやらないの?私達みたいなスキンシップ?」
作品名:魔法少女リリカルなのは THE MACHINES WAR 2 作家名:神威