魔法少女リリカルなのは THE MACHINES WAR 2
「私の世界での“日本”って国では余りやらないかな。“欧米国”っていう特定の地域は逆に多いかも」
「そっか。お父さんにしてみたら?きっと驚くわよ」
「えーっ!?恥ずかしいよー!!」
「グレースさんて、仕事とプライベートの性格ががらっと変わるんですね?」
意外に思った顔でティアナはグレースを見つめる。
「仕事と日常は切り替えてるの。大事じゃない?そう言う事?」
「はぁ…」
意味無く只返事を返す。
「はやてちゃんにも見習って欲しいわ。はやてちゃんは常にあの性格だから…」
「しょうがないですよ。彼女はあれで釣り合ってますし…」
「それもそうね」
グレースとシャマルが微笑し合う中、体温計の音が鳴り響く。
「あら、済んだみたいね。ちょっとグレースちゃん、ごめんね」
体温計に手を伸ばし掴み取る。シャマルは体温計の液晶画面を覗いた。
「36.5度…と。異常無いわね」
カルテに記入し、体温計の電源を切りそれをポケットにしまう。
「じゃあ私は仕事があるから失礼するわね」
「それじゃあ私も…」
シャマルが言うと、それに続くようになのはは立ち上がりながらそう言った。
「ティアナはどうする?」
「私はもう少し…」
「ティアナちゃん……遊んでいる暇は無いわよ…」
「…えっ?」
ティアナは咄嗟にグレースの方を振り向く。グレースはティアナを真剣な目で見据えていた。
「何時までも引き摺っていたら成長しないわ。切り替えを繰り返していかなきゃ、執務官なんてなれっこない。少しの時間でもイェーガーないし他の犯罪者を逮捕する為に……貴女のする事はあるんじゃない?」
「グレースさん…」
グレースの瞳は、ティアナ自身を射抜くほど鋭かった。
“後輩の未来を自分のせいで潰したくない”――という願いを込めての言葉だったのかもしれない。
一時の静寂の後、ティアナはグレースの目を改めて見つめる。曇りの無い、まっすぐな瞳をしていた。
「私は…貴女に背中を推されてばっかりだ…。グレースさん、私も失礼します。する事があるので」
「うん。分かった…」
ティアナは立ち上がり、彼女に背を向け歩き出す。
なのはとシャマルもティアナの後に着いて行く。
「グレースさん」
不意に立ち止まり、ティアナは呟いた。
グレースは何も言わず、ティアナを見つめていた。
「ありがとうございます」
作品名:魔法少女リリカルなのは THE MACHINES WAR 2 作家名:神威