魔法少女リリカルなのは THE MACHINES WAR 2
(相変わらず陰険な手を使う。挑発的な言葉は“あいつ”を思い出させる。考えるだけで虫唾が走る…!)
苦虫を噛む表情で左手を強く握る。
「フェイトさん?」
ティアナが呼び、フェイトは我に返り彼女の方を向く。
「あ、ごめん。何でもないよ」
「まあ、仕方ないですよね。相手はフェイトさんを溺愛している訳ですし、その気持ち…分かります」
「うん、ありがとう」
彼女達が話題にしている人物。
それは犯罪者――
『クラウス=イェーガー』
罪名は――大量殺人。
一年前のJS事件の混乱に乗じてそれを始めた。
最初は無差別に犯罪を犯していたが、何処で目撃したのか事件で活躍するフェイトの姿を見て、それ以来殺人をしては彼女を指名するようになった。
メッセージに使われた血は、本人の者では無く被害者の者であると、鑑識によって判明した。
「どうします?突撃しますか?」
「いや、無闇に相手を刺激しては逆効果です。此処は私一人で突入します」
「フェイトさん、それは余りにも……!?」
「大丈夫。私を信じて。そしてティアナ、貴女は此処で待機してみんなの指揮を執って」
「し、しかし……!?」
「ティアナ、貴女は天賦の才を持っている。自信を持って。それに、貴女の“教導官”は誰か忘れたの?」
ティアナの正面に立ち、彼女は言った。
優しい表情を見せる彼女に圧され、ティアナは思い出す。
一年前の教導訓練。
大変でもあった。
歯向かいもした。
大切な事も教わった。
充実した一年間だったが、忘れた事は一度も無い。
いや、忘れてはいけない。
仲間達や六課のみんな、そして――隊長陣。
皆の励まし、助け合いがあって、今の自分がいる。
それを再認識したティアナは、フェイトの気持ちを汲み彼女に決意の顔を見せる。
「分かりました。此処は私にお任せ下さい。フェイトさんは後ろを気にせず、前だけを向いて下さい」
「うん、良い返事だ」
そう言うと、フェイトは工場の方を向き、愛機であるデバイス――バルディッシュ=アサルトを手に持ち、それを前に突き出す。
「バルディッシュ…」
「Yes,sir.」
金の魔力光に包まれ、瞬時に黒を基調とした服に白のマントのバリアジャケット――インパルスフォームへと姿を変えた。
只一つ六課解散前とは違う点を挙げれば、髪型がツインテールから通常のまま変わらないくらいである。
作品名:魔法少女リリカルなのは THE MACHINES WAR 2 作家名:神威