魔法少女リリカルなのは THE MACHINES WAR 2
薬莢が一つ消費され、バルディッシュの形態がアサルトからハーケンフォームに変形した。
鎌の形をしたそれは、彼女のトレードマークの一つでもある。
「突入を開始します。現場局員及び警邏隊は待機、特務部隊『バスター』は武装して現状維持。そして現場指揮をティアナ=ランスター執務官補佐に一任」
「了解!!」
歩きながら命令する彼女に、雄叫びにも聞こえる返事が返る。
「フェイトさん…!」
彼女を呼ぶティアナの声。それに答えるように、フェイトは振り向かず立ち止まる。
「……気を付けて」
「……うん、行ってくる」
優しく呟いた後、フェイトは歩き出し工場の中へと消えていった。
工場の入り口は開きっ放しだった為、安易に侵入出来た。
この廃棄工場は機械製造――乗用車を製造していた。
未完成の車や形を成していない物などが、製造途中のまま放置されている。
全てが錆び付いており、廃棄して大分時が経っている事が分かる。
独特の錆びた臭いが周囲に立ち籠める。
それに比例して機械油も同一に臭う。
悪臭に耐えきれず、フェイトはマントの襟で鼻を覆う。
(よくこんな所で待ち伏せ出来るものだ。考えられない…)
工場の中央付近に着いたフェイトは、足下に円形のミッド式魔法陣を展開する。
「バルディッシュ、サーチお願い」
「Yes,sir.Search mode.」
バルディッシュによる捜索を開始する。
魔力が少しでも感知すれば反応するようになっている。
一時の静寂――。
だが刹那に終わりを迎える。
「Sir.Magic reaction from the front.」――
「サー、正面から魔力反応」
バルディッシュの反応に従い、フェイトは正面を見つめる。
暗い場所ではあったが、“奴”はゆっくりと姿を現した。
「やあ、フェイト君……また会えたね。僕は嬉しいよ」
外の光によってはっきりと現れたその姿――。
中性的な顔つき。
背中の真ん中ぐらいまで伸びた黒髪。
上下黒を基調とした服。
白の外套。
そして彼の右手には、戟の形をしたデバイスが握られていた。
服装から見て、どうやらフェイトを意識しているようだ。
作品名:魔法少女リリカルなのは THE MACHINES WAR 2 作家名:神威