魔法少女リリカルなのは THE MACHINES WAR 2
なのはも同じく出勤時に何かを持って来ていた。
グレースとは対照的に桃色の紙袋だが、甘い香りが今でも漂っている。
「うん。フェイトちゃんと一緒にチーズケーキ作ったんだ」
「うそっ!?ごめーん!かぶっちゃった!」
「謝らないでグレース!提案したのは私だし、それに相談もしなかったから…!」
両手を合わせて2人に謝るグレースに、フェイトはしどろもどろしてしまう。
「ショコラとチーズは別だよねー、なのはママ?」
「そうだねー!」
雰囲気を断ち切ったヴィヴィオの一言に、なのはは分かっていたかのような感じで答えた。
フェイトとグレースは頬を紅潮し見つめ合う。
「ですよねー!!」
声を合わせて、これまた同じ動作でなのはとヴィヴィオを覗き込んだ。
「あっ!おうちだ!」
ヴィヴィオの言葉通り、海沿いに立つ一つの家が見えてきた。
二階建てでそれなりの広い庭付きの一戸建ての邸宅。
アットホーム感を醸し出すそれは、八神家等の大家族にはもってこいである。
玄関の門前に着いた4人は、その場に佇む。
そこから聞こえる家族の笑い声は、肌寒いこの季節でも温かい気持ちにさせてくれる。
なのはがインターホンを押そうとすると、ヴィヴィオが彼女の腕を引っ張った為に、中断した。
「ヴィヴィオちゃんが押したいのよねー?」
グレースがヴィヴィオをインターホンの高さまで持ち上げた。
「うんっ!!」
“ピンポーン”
小さな指で押されたインターホンが八神家に掛け声をする。
「…はーい?」
家の中から、女性の声が小さく聞こえてきた。
一時待つと、インターホンのスピーカーから声が流れる。
《どちらさんですー?》
日本国の関西弁の独特のイントネーションで女性が呼び掛ける。
「はやてちゃん、なのはだよ」
《えっ!?なのはちゃん!?どないしたん!?》
声の主は邸宅の主人――八神はやてだった。当然アポ無しなので、本人は驚いている。
「ちょっと用事があって……悪いけど顔出してくれる?」
《う、うん。分かった…》
疑問に思った声ではやては言った。
後に玄関の扉が開く。
ブラウンのショートヘアを靡かせ、左の前髪にバツ印のヘアピンを付けた、八神はやて本人が姿を見せる。
白の長袖のフリルカットソーに、黒のデニムパンツというラフな格好をしていて、どうやらこれが部屋着のようだ。
作品名:魔法少女リリカルなのは THE MACHINES WAR 2 作家名:神威