魔法少女リリカルなのは THE MACHINES WAR 2
「2人共退院した事だし、目処は立ってるんでしょ?」
「それが…」
フェイトが口ごもっていると、グレースはフェイトの方を向き、真剣な表情を見せた。
「…グレース?」
「フェイトちゃんには言ってないけど…ていうか、クロノ提督がそれを控えていたんだけど…報告の権限を提督から頂いたから、言うね」
「お義兄(にい)ちゃんが…?」
『クロノ=ハラオウン』――次元航行隊の提督でありフェイトの義理の兄である。母であるリンディは管理局総務統括官、因みに妻子持ちである。
「貴女の仇敵…クラウス=イェーガーの魔力が第81管理世界呂琥海(りょくかい)で頻繁にキャッチされている。明日…バスターはクロノ提督を艦長とする艦船クラウディアでその世界に行き、奴を逮捕する……フェイトちゃんを除いてね…」
「……!?」
「えっ……!?」
フェイトは見開いて驚愕の顔を露わにする。以外の者も相応の反応を見せた。
「グレース……どう言う…事?」
「クロノ提督の配慮よ。敗北した貴女の気持ちを考えての決断だったと思うわ。別の理由として、イェーガーが貴女に会って付け上がった態度を取られても困るしね」
「………」
「それに……貴女は心の奥底で……知らない内にイェーガーを恐れているんじゃないの?」
「……えっ?」
「そんな気持ちでイェーガーを逮捕するなんて……到底無理よ」
「………」
フェイトは俯き、黙ってしまう。グレースは容赦無く彼女に冷たい視線を送る。
「……貴女に…何が分かるの…?」
「……?」
刹那、フェイトは立ち上がり右手でグレースの胸ぐらを掴んだ。
「……!?」
「フェイトちゃん!?」
「テスタロッサ!?」
なのはとシグナムが止めに入ったが、既にフェイトは怒りの目をグレースに向けていた。
「何が分かるのよ!?分かったような口を聞かないで!!執務官でもない貴女が、口を挟まないでよ!!友達でも、言って良い事と悪い事がある!!私がやらなきゃいけない!!執務官として……私が…!!」
「甘ったれるんじゃないわよ!!」
「……!?」
グレースの怒号が飛ぶ。ヴィヴィオ、リイン、アギトは驚いて肩をびくっと動かした。
「執務官だから何よ!?“執務官”という役職に自分が甘えてるだけじゃない!?“私がやらなきゃいけない”!?ふざけないでよ!!……もっと!……もっと!!……人を信用しなさいよ!!」
「……!?」
作品名:魔法少女リリカルなのは THE MACHINES WAR 2 作家名:神威