魔法少女リリカルなのは THE MACHINES WAR 2
フェイトの右腕から力が抜けていく。
「貴女は自分の為に部隊を立ち上げたの!?違うでしょ!?みんなと協力し合い、弱者を助ける為……そうでしょ!?」
「グレース…」
静かにグレースの胸ぐらから手を放す。
「……ごめん」
「ティアナちゃんも貴女の助けになっている。私も……バスターの仲間も…。苦しい時は、何時でも慰めてあげる…。何でも一人で解決なんかしちゃ駄目。此処にいるみんなも、貴女を心配しているの。だから……遠慮しないで良いんだよ…」
「グ…レース…」
「私達……友達でしょ?」
フェイトの瞳から大粒の涙が零れる。そして、グレースを抱き締めた。
「うっ…うぐっ…ひくっ…」
「思いっきり……私達を頼ってよ…」
フェイトの頭をゆっくりと撫でる。我が子のように――優しく。
「グレースちゃんばっかりずるいで」
「私達も、友達だよ」
なのはとはやても、2人に抱きついて来た。
「六課時代も、協力し合ったやん?」
「私達やみんなは……一つの糸で繋がってる。一人が躓いたら、みんなで慰める。当たり前の事だよ……フェイトちゃん…」
「な…のは……はや…て…」
「フェイトママ?」
とてとてと歩いてフェイトに近づいたヴィヴィオは、憂いの瞳で彼女を見つめていた。
「ヴィヴィオが、慰めてあげる」
するとヴィヴィオはフェイトの足にそっと抱きついた。
「ヴィヴィオ……うっ…ひくっ…」
友達、仲間、家族――。
そのカテゴリーを通り越した物は、紛れもない人との繋がりだった。
一人の苦しみはみんなの苦しみ。
みんなの喜びは一人一人の喜び。
その絆は、容易には断ち切られない。
フェイトはその思いを胸にしっかりと仕舞い、温かさに耽っていた。
「あのね……フェイトちゃん?」
「……何?」
グレースが頭を掻きながら言った。フェイトは上目で彼女を見つめる。
(か、可愛い……いやいやいやいや…!!)
グレースは頭を左右に振り動かす。濡れた瞳をしたフェイトの表情は、可愛さに磨きが掛かっていた。
「…?」
「さっき言った事……半分……嘘なんだ」
「えっ…?それってまさか…?」
「うん。任務は本当だけど、フェイトちゃん抜きってのが嘘。でも、提督が報告を私に委託したのは事実だから」
作品名:魔法少女リリカルなのは THE MACHINES WAR 2 作家名:神威