魔法少女リリカルなのは THE MACHINES WAR 2
「そう……。ありがとう、グレース。お陰で抜けていた心の穴が塞がったよ…」
顔をグレースの胸にうずめる。迂闊にも、グレースは頬を紅潮させてしまう。
「フェイトちゃんずるいでーっ!!」
「私もやるーっ!!」
「ちょっ、まっ……!?」
てんやわんやな状況になり、グレースは慌てふためく。
「ヴィヴィオもーっ!!」
「私もですーっ!!」
更にはヴィヴィオやリインも来る始末――。
周りの者は、その光景を見て笑っていた。
「待ってっ…!?あっ……あーーれーーっ!!」
この後グレースがどうなったか――それは想像にお任せしよう。
翌日早朝。
フェイトはある人物に呼び出され、本局の一室にいた。
来賓用のソファー、テーブルに高価な机や椅子と装飾品――威厳を醸し出しているそれらは、次元航行隊の提督の偉大さを見事に表現していた。
前文の通り、此処は提督室である。
一応窓は設備されていて、景色は人工的に作られた立体映像が映し出されている。
ソファーに腰掛けるフェイトと対称に座る一人の人物。
黒の提督の制服を着た黒髪の短髪の男性――フェイトの義兄(あに)であるクロノ=ハラオウンがいた。
「お義兄ちゃん、用事って何?」
「……2人きりの時くらい普通に呼んでくれないか?長年家族として接したが……これは慣れない…」
「お義兄ちゃんでしょ?」
「それはそうだが……まあいいや。呼び出したのは他でも無い、任務についてだ」
「……!」
フェイトの表情が真剣な物に切り替わる。
それを見たクロノは、何かを悟ったようで落ち着いた顔を浮かべる。
(心配する事は無かったな…。グレースに頼んで正解だった)
「その顔を見る限り、もう大丈夫のようだな?」
「……うん!」
「よしっ!グレースから聞いたと思うが、第81管理世界呂琥海は知っているな?」
「うん。前に犯罪者を逮捕した時に行った事はある」
『呂琥海』――局が管理する81番目の世界である。第97管理外世界地球の国、中国に酷似した世界でもある。
「その呂琥海で、クラウス=イェーガーの魔力がキャッチされている。フェイトが目覚めた4日前からだ。しかし、呂琥海からは事件の報告は一切無い。おかしいとは思わないか?」
「確かに。奴は必ず私と会いたがってる。その為には犯罪をして私を誘い出す筈。一直線な人間が、急に策略を使うなんておかしい…」
作品名:魔法少女リリカルなのは THE MACHINES WAR 2 作家名:神威