魔法少女リリカルなのは THE MACHINES WAR 3
山脈を囲むようにあるゲートは、陸上手段唯一の入口だ。
各ゲートには数名の兵士が置かれている。
内2人はゲート正面に立ち、4人は監視室で待機している。
正面左の兵士が、退屈なのか豪快に欠伸をした。
「ふぁーーっ……暇だな…」
「全くだ」
右の兵士がケラケラと笑う。
ふと、左の兵士が左の内ポケットからタバコを取り出した。
「吸うか?」
「悪ぃ、今禁煙中」
納得したのか、小刻みに首を縦に動かしタバコに火を付ける。
その時、遠方から一つの人影が見えてきた。それは、肉眼ではっきり視認出来る。
「おい!……あれ…!」
右の兵士に促され、彼は火を付けながら上目でそれを見た。
「何だぁ?」
徐々に露になる姿。
どうやら男性のようだ。
格好は一般的なPeace所属の兵士と大差ない。
男は、ゲートに近づき立ち止まった。
「ID、所属、名前、階級を言え」
返事はない。
「聞こえなかったのか?言え!」
男はゆっくりと顔を右の兵士へと向ける。
「なっ……!?」
彼は目に映る光景に現実を疑う。
男の向こうにいる筈の同僚の姿が、信じられない。
首を握り締められ、ぐったりしているのだ。その拍子に、タバコは彼の口から落ちていく。
「貴様…っ…!!まさか…!!」
本部に報告しようと無線機に手を伸ばしたが、手遅れだった。
男が兵士の胸部を拳で突き、貫いた。
引き抜くと、抵抗なく兵士は倒れる。
血で覆われた右腕をじっと見つめるが、気にする素振りも見せず腕を下ろした。
ふと、兵士が身に付けている無線機を取る。
初めから熟知しているらしく無線機のチャンネルを合わせる。
そして、声を送る。
「おい、交代の時間だ」
男の声は、何故か絶命した右の兵士の声に変わっていた。
「もうそんな時間か?了解した。ゲートを開ける」
兵士は疑う事もしない。
ゲートの擦れる音が響きゆっくりと開門していく。
中はそれほど明るくはなく、ヘリや戦車などが均等に整列されていた。
男は中へと入っていく。
目線も頭も動かず、只真っ直ぐに歩く。
薄暗い景色に不気味さが上乗せし、恐怖感を見せつける。
監視室はゲートから入って左手に位置する為、窓越しに確認が出来る。
「お疲れ……んっ?」
何時も通りの会話で続くはずだったが、兵士の目は違和感を覚える。
作品名:魔法少女リリカルなのは THE MACHINES WAR 3 作家名:神威