魔法少女リリカルなのは THE MACHINES WAR 3
ゲートにいた兵士はこんな奴だったか。
そう思わずにはいられない。
この御時世、疑問は信じるべきだ。
何もかも命取りになる。
此処は相手に問う。
「お前…?」
男は兵士達を、物のように見つめる。
そして、隠していた銃で――撃った。
正確に脳天を狙う。
全ての標的を落とすのに、さほど時間はいらなかった。
男は、一人の遺体のネームプレートを奪い自身に付ける。
『ラルフ=レット』で身を隠し、『兵士』は奥へと進む。
この基地は『要塞』だ。
周りから見れば、刺々しく近寄り難い印象を与えるのが普通なのだが、実際は表裏が激しい。
隊長が女性或いは彼女の性格なのか、中は綺麗で整頓が行き届いている。
兵士の男女の割合が、3:7である事実が上乗せしているのだろう。
通路ですれ違う兵士の殆どが女性――これに、レイルらは驚きを隠せない。
「ミリィ二佐、女性を多く登用した訳は?」
「単純な事だ。女の方が身軽で素早い。それだけだ」
素っ気ない返事に、レイルは禁句を言ってしまったと焦ってしまう。
「気にはしていないから安心しろ」
小さく笑みを浮かべる姿は、美しいというより可愛い。
上官が男性であるレイル達にとって、新鮮な事だ。
「だからと言って、油断しない事だ。此処は男女問わずエリート尽くし……足を引っ張るな」
互いに顔を見つめ、ミラージュとヴェザールは苦笑いを浮かべる。
自分達が当てはまると勘づいたのだろうか。
やがて、ある部屋に到着する。
入室するや、ミリィは隊長席に腰掛け巨大モニターを見つめる。
此処は通信室。
幾つも分割されたモニターは、例えるなら蜘蛛の目のようだ。
忙しなくキーボードの音が鳴る。
ミリィが来てそれは、緊張感へと変わった。
「異常はないか?」
「ありません」
「何時も通りです」
これが平穏なのだろうか。
『平穏』は――『平和』ではない。
(『要塞』…か。綻びがなければ良いが…)
T‐900は思う。
心配はしていない。任務に支障がないか危惧しているのだ。
だが、綻びはあった。いや――生まれた。
次々とモニターの画面が疎らに暗くなっていく。
その現象に、目を疑う。
作品名:魔法少女リリカルなのは THE MACHINES WAR 3 作家名:神威