魔法少女リリカルなのは THE MACHINES WAR 3
敵の視界は、火花が舞い殆どが見えなくなっていた。
その衝撃は後退する程の乱射で、ターミネーターの服は蜂の巣のように穴だらけとなった。
流れる血が、人間と相違ない事を嫌程思い知らされる。
その隙を突いて防護壁に隠れていたクレイヴが、愛刀『蜘蛛切』を携え銃弾を避けターミネーターに突撃する。
「うぉぉぉぉぉぉぉぉッ…!!」
右に薙ぎ払った斬撃はかわされ、途切れなく下段からの斬り上げを見舞う。
しかし回避される。
敵は仰け反り、下目で正面を向こうとする。
向いた時には、クレイヴは口元をつり上げ屈む体勢に入り、更に後方には兵士が既にバズーカ砲を放っていた。
スローモーションに映るそれは、ターミネーターの目でも追えない速度であると物語っている。
弾丸が敵の腹部に直撃。逆らう事なく、弾丸ごと吹き飛ばされた。
一室の壁は無惨に破壊し、貫通。土埃が立ち籠め、炎も舞い上がる。
「来るぞ!!構えておけ!!」
音を立て、乱れる事なくマシンガンを敵の方向に構える。
積載した瓦礫の山は、沈黙を続け存在感を一層際立てていた。
そして、山は崩壊する。
鋼鉄の腕が、内部から突き崩した。
露になる敵の姿はほぼ無傷に近く、絶望を感じさせるには十分な要素だった。
「当然だな…そうでなくては面白くない…」
さも不敵に笑うクレイヴだが、額に光る汗だけは嘘をつけない。
高ぶる感情を押し殺し、一点に集中する。
「撃てーーっ…!!」
号令の刹那、再び銃弾を見舞う。しかし、敵は巨石を盾にして防ぐ。
「マシーンが盾か!?我らを舐めているのか!?」
銃弾の勢いは増し、巨石は徐々に形を失っていく。そして粉砕、兵士の士気は高揚に達する。
誰もが優勢だと確信していた。
だが、全てが錯覚だった。
粉砕した――否、『された』のだ。
稲妻の如き閃光によって――。
敵から放たれた一撃は、瞬く間に縦一列の兵士達を貫通し吹き飛ばした。
「なっ…!?プラズマ砲だと!?…奴は『850型』か!?」
『T‐850』――近年投入された次世代型ターミネーターである。外見がT‐800と大差ない為誤認しやすい。右腕に大口径プラズマ砲を隠し装備しているのが最大の特徴だ。しかし、量産には至っておらず現在数十体のみ確認されている。
予期せぬ強敵に驚愕しつつも、兵士達は挑む事を止めない。
それこそが、『兵士』たる所以――。
「ミリィ二佐に報告だ。我々は敵を見誤ったと…」
作品名:魔法少女リリカルなのは THE MACHINES WAR 3 作家名:神威