魔法少女リリカルなのは THE MACHINES WAR 3
一面に黒煙が充満する。霧のように深く視界が定まらない。
バズーカを捨て、近くにあるショットガンを握り締める。
自身相当の大きさであるガトリングを軽々と持ち上げ、敵に向かって歩き出す。
敵はゆっくりと立ち上がるが、服は焦げ疎らに人肌(多くはチタンの骨格が剥き出しだが)が露出していた。
それを見て、ショットガンを片手で上下に動かし装填して撃つ。
着弾後、相手は反動で微かに後ろに跳ねる。
撃つ度にそれは続き、敵を徐々に向こうの壁へと追い詰めていく。
次の一発で、敵は糸の切れた操り人形のように壁に凭れ動かなくなった。
見開いたままの姿は、時が止まったと錯覚する他、余計に不気味に感じられる。
ショットガンを装填し銃口を敵に向け引き金に指を掛けた刹那、T‐900はふと相手の肘からの右腕が消えている事に気付いた。
辺りを調べ熱源反応のあった方を向くと、左側に消えた右腕が空を浮かんでいた。
それは瞬時に砲口に似た形へと変形し、自分に向け光を集束していく。
為す術ないままプラズマ砲が撃たれ直撃、武器は手から落ち身体だけ吹き飛んだ。
床に落ちる武器の音を背景に蛍火のように粒子が漂う中、敵はゆらりと立ち上がり佇む。
切り離された腕は元の形へと戻り、敵の右腕に結合された。
床に落ちたショットガンを拾い、周りを見渡す。視界は赤くなり所々に文字が表示される。
『SEARCH TARGET』=『目標物、探索』
それが中央に表示されると、黄緑色の小さい円形が出現し視界の中を無造作に動き出した。
視界を変える度に虫を這うような動きを繰り返す。
そしてその動きが――止まった。
点滅して示す場所は、室内から見える廊下にあるエレベーターだった。
『DISCOVERY』=『発見』と表示され、下部を示しているようだ。
故に、この階の更に下にある事が確定されたのだ。
視界を戻し、エレベーターに向かって歩き出す。
対して、攻撃を受け辛うじて動くT‐900だがプラズマ砲の影響でうまく立ち上がれない。
仕方なく四つん這いになりながらも敵を追う。
倒れては追い、また倒れては追いの繰り返し。
敵は目もくれず歩を進め、エレベーター目掛けてショットガンを撃つ。
爆音轟く中炎が舞い扉が吹き飛ぶ。エレベーターはなく中は空洞になっていた。
そして一歩を踏み出したその時、右足を掴まれる。
作品名:魔法少女リリカルなのは THE MACHINES WAR 3 作家名:神威