魔法少女リリカルなのは THE MACHINES WAR 3
「Start up.」――
「起動」
ドラグーンの発動によって、光は更に眩しさを増し輝き出す。
そして、一瞬の内にメンバーの姿は消えて無くなった。
(武運を祈る…)
義兄としての思いが、心の声に響いていた――。
◇
敵の勢いは、止まる事を知らなかった。
増援として現れたT‐790の集団で、難攻不落の要塞は陥落の危機に晒されていた。
既に侵入を許してしまい攻防が続いているが、辛うじて地下研究室は侵攻を免れている。
床には空の薬莢が散らばり、力尽きた兵士の骸が所狭しと点在していた。
だが、兵士達の攻撃は止まらない。
後ろにある『魔法』は人類の希望。
そう易々と奪わせない。
「ぐはッ…!!」
「撃ち続けろーーっ!!これ以上奴等を行かせるなーーっ!!」
銃弾の礫は、無情にも人を屠る。
それでも、立ち向かう心は消える事は無い。
第5小隊の面々も、後退しながらも防衛に徹していた。
「くっ……押されているか…」
ミラージュの歪んだ表情から見ると、苦戦を強いられているようだ。
「敵多すぎじゃないっすか!?」
「ああ、敵さんも要塞には戦力を惜しまないという事だろ…」
「これじゃ切りがないっすよ!!」
撃ち続けるゴードンの横で、ミラージュはマシンガンにマガジンを装着する。
「でも…やるしか…ないんだよ…」
ミラージュが放つ銃弾は、マシーンの喉元に数発命中し倒していく。
「倒される前に倒す。それが俺達軍人の務めだ」
銃口から見えるミラージュの瞳は、只敵を捉え続けていた。
外とは対照的に、此処――地下研究室は静寂に包まれていた。
時折上からの衝撃で埃などが散らばる中、レイル率いる第5小隊分隊はミリィと数名の部下と共に研究室にいた。
ミラージュの隊は此処の最終防衛ラインという事だ。
常時武器を携え、研究室一帯に展開する。
装置の扉の前にはミリィが腕を組んで佇み、レイルと彼女の部下が彼女を守るように配置している。
「私の勘も…鈍ってきたな…」
唐突に、ミリィが言う。
「………」
「まさか大部隊で攻めてくるとは…。要塞の言葉に酔っていたか…」
「……誰もが完璧ではありません。失敗だってあります。それが人間なのですから」
レイルの言葉に、ミリィは嘲笑うかのように鼻で笑う。
「言うようになったじゃないか……」
作品名:魔法少女リリカルなのは THE MACHINES WAR 3 作家名:神威