魔法少女リリカルなのは THE MACHINES WAR 3
「ティアナ、それって…?」
「はい、開発されたフライングジェットシステムです」
『フライングジェットシステム』――正式名称は
『NGM(NEXT GENERATION MACHINE)09‐FLYING JET SYSTEM‐F・J・S』。
飛行魔法が使えない魔導師、騎士の為に教導隊が開発した機体である。使用者の魔力を媒体にして飛行することが出来、その都度の魔力量によって速度が変化する。
「出動する前になのはさんに許可を頂きました。バスターで飛行出来ないのは私だけですから、足を引っ張らないようにと思って準備していました」
《へぇ…それが例の……格好いいなぁ》
不意に空間モニターが現れ、除き込むような顔でグレースが映る。
「グレースさん?」
《もう少し開発が早ければ飛行魔法なんか覚えなかったのに…》
「はは…」
《まあいいわ。兎に角、魔力量には注意して乗ってね》
「はい」
モニターが消えると、ティアナは機体の上に乗りその場にしゃがみ込む。
そして瞳を閉じ、魔力を足下に集中させる。
「Connection completion.」――
「接続完了」
魔力が機体に注入されると、噴出口の奥が碧く光り出しエンジンが作動する。
やがて機体は浮かび上がり、ホバリングして維持した。
「……よし、いける!」
「ティアナ、準備はいい?」
「はい、何時でも」
フェイト達が空中に上がると、ティアナもゆっくりと上がっていく。
「行くよ」
一斉に飛び、ボートの噴出口から勢い良くエアーが吹き出し、加速する。
目的地まで、真っ直ぐに――。
都市『燈己(とうき)』から離れたある倉庫に、数人の局員がいた。
手には魔力を調べる装置が握られ、辺りをウロウロしている。
その中、倉庫の前に佇む黒い制服を着た男性がいた。
ブルーの短髪をした彼も、装置を手に持ち、それを見つめていた。
「反応は…無いか…」
未だ沈黙を続ける装置に、苛立ちを覚えるほどである。
そこに、局員が一人近づいて来た。
「来禾(らいか)隊長、たった今通信があり、クラウディアからバスター部隊が呂琥海に入ったと報告が…。それと、ハラオウン執務官率いる分隊が此方に向かっているそうです」
「……そうか。了解した」
彼の名は劉来禾(りゅうらいか)。
呂琥海支部所属の執務官である。
呂琥海出身で年齢は31。フェイトと同時期に執務官を取得した人物でもある。
作品名:魔法少女リリカルなのは THE MACHINES WAR 3 作家名:神威