魔法少女リリカルなのは THE MACHINES WAR 3
《隊長、着陸体勢に入ります》
レイルの通信機に、操縦士の声が受信される。
「了解した。引き続き操縦にかかれ」
《了解》
通信を切った後、レイルは立ち上がり左腕でヘリの側面を押さえ、部下全員を見据え言葉を掛ける。
「これよりブリッツ山岳基地に着陸する。恐らく二佐がお見えになる筈だ。節度ある態度を見せろ」
「了解っ!!」
一斉に敬礼を見せ、レイルもまたそれを返す。
対して、T‐900は円型の窓を振り向き様に覗き込んでいた。
山々にそびえ立つ基地が徐々に迫る中、T‐900はヘリポートと思しき屋上を見つめる。
ズーム機能を使い、屋上の一部の視界を拡大する。
見えたのは、数人の女性兵士を連れたコート姿の女性。
腕を組み堂々とした態度で此方を見つめていた。
しかし、その視線は何故か自分に向けられていた。
“この距離で自分を見れる人間などいない”――と思考したが、確実に自分を見ている。
T‐900は、敢えて目を逸らさずに彼女を凝視し続ける。
(彼女が例の二佐…)
T‐900は外を眺めたまま、ヘリは着陸体勢に差し掛かろうとしていた。
ヘリポートの上部に、4機のヘリが着陸体勢に入っていた。
誘導灯を振る兵士に従い、ヘリは徐々に床に近づいていく。
それに伴い、プロペラより生じた強風でありとあらゆる物が強く靡く。
ミリィら佇む兵士達は、腕を曲げ顔の前にかざして強風に耐え忍ぶ。
ヘリが近づく度に風は更に強くなる。
4機とも着陸したのは、上空にホバリングしてから1分少し経過したくらいであった。
未だプロペラは回転しているが、勢いは弱まり風も自然の物と大差無い程にまでに収まった。
一時して、ヘリの扉が4機一斉に――いや、疎らではあったが――開いた。
搭乗した兵士達が次々と降りて来て、迅速とした動きでミリィの前へと集まって来る。
第5、第8とそれぞれ横隊で整列しマシンガンないし他の火器を右手に載せ肩に掛けるように持っていた。
彼女――T‐900のみは、丸腰で並んでいた。
「敬礼っ!!」
隊長同士であるクレイヴ=アーチェスと前に並んだレイルが、雄叫びの如く叫ぶ。
腕を動かす音が轟音に聞こえるくらい、兵士達はびしっと敬礼をした。
「フレイア本拠地所属第5小隊、第8小隊、只今ブリッツ山岳基地へ到着致しましたっ!」
作品名:魔法少女リリカルなのは THE MACHINES WAR 3 作家名:神威