魔法少女リリカルなのは THE MACHINES WAR 3
鉄の階段を下りる足音が木霊する。
長く続く階段を下りるのは、ミリィ、レイル、ミラージュ、クレイヴ、第8小隊の二等陸尉である黒の短髪の男性ヴェザール=バース、そしてT‐900である。
代表して、数人とキーであるT‐900が行く事になった。
下へ進むにつれて、不気味に蛍光灯の明かりが皆を照らし出す。
「随分下に行くんですね?」
「あの転移装置は人類の希望……そう易々と何処でも置けない。場所は私と私の補佐官数人しか知らない。この基地の“看板”の為には、大袈裟にする必要があるのだ」
レイルの問いに、ミリィは淡々と答えた。
「補佐官が信奉者とは疑わなかったのですか?」
最後尾に歩くT‐900が、そう言った。
「調べたさ。さっき“お前にした”ようにな…」
「………」
「ふっ……冗談だ。身体検査やありとあらゆる事をした。結果は……分かるだろ?」
それ以降、誰も口を動かさず黙々と歩き続けた。
やがて階段は終わりを迎え、研究施設に辿り着く。人一人おらず、その一角に厚い銀色の鉄の壁で出来た部屋の扉があった。
ミリィらはその扉の前に移動し佇む。
不意に、ミリィは内ポケットから銀色のカードを取り出した。
「これは扉を開く為のキーだ。人間識別センサーキーも取り付けてあるが、私の場合誤認されかねない」
センサーキーの隣に設けられたカード識別キーの溝に、カードをスライドさせる。
センサーキーのライトが青色から黄緑色に変わった刹那、扉は自動にスライドし空気圧の音を鈍く轟かせる。
ミリィがすっと部屋に入ったのに対し、レイル達は一度間を置いて流れるように入室した。
「これが……」
「……転移装置」
扉の前で佇むレイル、クレイヴがぽつりと呟く。
ミリィとT‐900以外は、中央に佇む転移装置に釘付けになっていた。
いや、T‐900は全くと言っていい程興味が無いのだろう。
フレイア本拠地で全容は把握したが、実物を目にするとその威圧感が容赦無く伝わってくる。
ゴウンゴウン、と静かに稼働する装置の音が妙にそれを際立てる。
「外見は同じなのに、全くの別物なんだ…」
ミラージュが呟く。
「お前達、何時までそこにいるつもりだ?早く来い」
ミリィが装置の近くで佇みレイル達を見つめる。
一同は早足でミリィの所へと向かった。
作品名:魔法少女リリカルなのは THE MACHINES WAR 3 作家名:神威