魔法少女リリカルなのは THE MACHINES WAR 4
「くッ…!!」
無機質な眼光が、ヴィータを射抜く。
「撃てや」
「……?」
「撃てっちゅうとんのや!!」
「こいつ…!?」
「今まで機械と戦ってきた人間がこんな事するんやッ!!私らを踏み越えて魔法を奪い取る覚悟が、アンタにあるんかッ!!」
「俺を試そうというのか!?本気で撃つぞ!!」
「撃てやッ!!」
「……!!」
(何だこいつは!?死ぬのが怖くないのか!?そこまで言う理由は一体何だ!?)
彼女の揺るがない決意に、心が怯み始める。
幼さが残るはやての表情は、銃に重なっても実直で勇ましく見えた。
「………」
「………」
「………救いたい…」
「んっ…?」
「アンタらの世界の人達を…救いたい…」
「!!………お前…」
不意にはやての瞳が潤い、やがて一筋の涙を流した。
「はやてちゃん…?」
「主はやて…?」
「私かて出来るなら今すぐにでも助けに行きたいッ!!でも、法がそれを許さへんのやッ!!」
「………!!」
「上層部は下の意見なんか聞きやせんッ!!人間(ひと)をゴミのように切り捨てるッ!!法を変える気なんて更々ないんやッ!!けど…けど…市民の上に立つ者として、法を守っていかなあかんッ!!勝手は許されへんのやッ!!」
「お前…」
「今の法で市民は守られとる……その市民をも犠牲にするなら、私はアンタらを止めなあかんッ!!」
「…そこまで…」
銃を握る手が弱くなっていく。
目の前の女性も、市民の為に尽力する一人の軍人。
自分と同じ志を持つ彼女を、あろう事か処断する所だった。
(こんな若い娘が、そんな事まで考えているとは…!?世界を思う気持ちは、誰でも同じ…。なのに俺は、一方的に使命を押し付けようとした…。これではまるで総司令部(うえ)の連中と同じではないか!!)
後悔に苛まれる中、レイルの視線ははやての左拳に向いた。
力一杯握っている所為で、掌から血が滲み出ていた。
その光景を見て、銃を構える事を不快に感じゆっくりと手を降ろした。
作品名:魔法少女リリカルなのは THE MACHINES WAR 4 作家名:神威